Raspberry Piが成層圏42kmに到達 NASAミッション「Trinidad」で極限環境での画像撮影に成功

FabScene(ファブシーン)| テクノロジーの「現場」を記録するメディア

電子工学エンジニアのElvis Andrés Ayala氏が、Raspberry Piを使った宇宙探査システム「Trinidad」プロジェクトの成果をRaspberry Pi公式ブログで発表した。同プロジェクトではRaspberry Pi Zero 2 WとCamera Module 3を搭載したシステムが成層圏高度42kmに到達し、マイナス50度以下の極限環境で画像撮影に成功している。

プロジェクト「Trinidad」は、市販部品を使用した低コストな宇宙システムの実現を目指している。初回バージョンではRaspberry Pi Zero 2 WとRaspberry Pi Camera Module 3を3Dプリント製筐体に収納した画像取得モジュールを開発し、NASAの科学ミッション「EMIDSS」(Experimental Module for the Iterative Design of Satellite Subsystems)の一環として成層圏気球で打ち上げた。

システムは平均高度42kmの成層圏で動作し、マイナス50度以下という極限的な低温環境下でも正常に機能した。撮影された画像には、宇宙から見た地球の湾曲した地平線や大気層の境界が鮮明に写っている。

センサー機能を追加したVersion 2を開発

FabScene(ファブシーン)| テクノロジーの「現場」を記録するメディア
画像出典元公式ブログ

Ayala氏は今年、機能を向上させた「Trinidad Version 2」を開発した。新バージョンでは画像撮影機能に加え、成層圏から関連する環境データを収集する新たなセンサー類が統合されている。Version 2も初回同様、ニューメキシコ州Fort SumnerにあるNASA基地から成層圏気球による打ち上げが予定されている。

Ayala氏の目標は、市販コンポーネントを使用して機能的かつ低コストな宇宙システムの構築が可能であることを実証することだ。「Trinidadのようなシステムが大学や学校にとって強力な教育ツールとなり、宇宙到達を夢見る学生や愛好家に新たな機会を開くことを期待している」と述べている。

プロジェクトはNASAの成層圏気球プログラムを通じて実施されており、低コストでの宇宙環境アクセスを可能にする教育的取り組みとしても注目される。Raspberry Pi Foundation側では、同様のRaspberry Pi搭載CubeSat(小型人工衛星)プロジェクトも多数紹介しており、教育機関での宇宙技術学習が活発化していることを示している。

関連情報

Raspberry Pi in the stratosphere – Raspberry Pi公式ブログ

関連商品(広告)

fabsceneの更新情報はXで配信中です

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!