
オーストラリアのRob NewportがKickstarterで、Raspberry Piコンピュートモジュール用の超小型キャリアボード「Xerxes Pi」の資金調達を実施している。同製品は標準的なNano ITXボードの3分の1サイズ(120mm×40mm)を実現し、1Uのホームラボや小規模ビジネス用ラックスペースに縦置きで設置できる。
Xerxes Piの最大の特徴は、120mm×40mmというコンパクトな設計だ。これにより、従来のATX規格では困難だった狭いスペースへの設置が可能になる。対応するコンピュートモジュールは、Raspberry Pi CM4・CM5をはじめ、Banana Pi CM4・CM5、Radxa CM5、Orange Pi CM4・CM5まで幅広くカバーしている。
ボード背面には電源、グランド、I2C、SPI接続用のピンヘッダーを配置し、M.2 E KeyとmicroSDスロットも装備している。冷却については、パッシブヒートシンクを採用した設計で、Raspberry Pi CM5やHailo M.2 AI加速装置などの発熱部品にも対応できるよう配慮されている。
POE(Power over Ethernet)にも対応しており、ネットワークケーブル1本で電力供給とデータ通信の両方を実現できる。ただし、コスト削減と柔軟性向上のため、POEチップは本体から分離した「シールド」ボード方式を採用している。
同プロジェクトの主要ターゲットは、ホームラボ愛好家と小規模ビジネス向けの技術者だ。Dockerコンテナやその他のサーバーベースソフトウェアを低コストで運用したいユーザーを想定している。単体での使用はもちろん、クラスター構成での運用も可能としている。
オープンソース戦略として、資金調達額に応じた段階的な情報公開を計画している。1万ドル達成時には設計図、3D Fusionファイル、ヒートシンクの設計データを公開予定だ。さらに5万ドル達成時には、12台のXerxes Piを収納可能な19インチ1Uラック用の3Dファイルを開発・公開するとしている。
製造面では、オーストラリア・シドニーでの小ロット生産(月500台未満)を予定しており、「Australian Made」認証の取得を進めている。これにより、アメリカ向け輸出時の関税負担軽減が期待できるという。大量注文時は外部製造パートナーとの連携も視野に入れている。
プロジェクトの資金調達期間は2025年8月31日まで。教育機関、政府、企業向けには24台以上の注文で特別価格での配送サービスも提供する予定だ。