3Dプリンターで本格的なシリコン部品が製造可能に、ストラタシスと信越化学が新材料発売

FabScene(ファブシーン)| テクノロジーの「現場」を記録するメディア
P3 Silicone 25A 製の吸盤画像出典元プレスリリース

3Dプリンター大手のストラタシスと信越化学工業が2025年7月14日、新材料「P3 Silicone 25A」の商用発売を発表した。従来の射出成形によるシリコン部品と同等の性能を持ちながら、金型不要で製造できる材料だ。自動車、医療、消費財、産業分野での活用を想定している。

P3 Silicone 25Aはストラタシスの「Origin DLP」プラットフォーム専用に設計されており、従来のシリコンが持つ耐薬品性、耐熱性、機械的特性を備えている。150℃で最大1000時間の熱老化試験をクリアし、生体適合性および難燃性の認証も取得している。

従来、シリコン部品の製造には射出成形が主流だったが、金型製作に時間とコストがかかり、小ロット生産や試作段階での活用が困難だった。シリコンはシール、ガスケット、防振材、ウェアラブル機器、ソフトタッチ部品などの用途に不可欠な材料となっているが、従来の成形シリコンに匹敵する性能を持つ3Dプリント材料の需要が高まっていた。

P3 Silicone 25Aは、ストラタシスの量産対応P3 DLP技術と、信越化学のシリコン化学における専門技術を融合することで開発された。リードタイムの短縮や小ロット・現地生産を可能にし、複雑な形状のシリコン部品も高精度で製造できる。

現在、EMEA(欧州・中東・アフリカ)およびAPAC(アジア太平洋)地域で注文受付が開始されており、アメリカ地域では年内に提供開始予定だ。今後は、異なる硬度レベルや用途別のバリエーションが順次展開される。

関連情報

プレスリリース(日本語版)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!