米海軍の大西洋潜水艦部隊は、潜水艦の魚雷発射管から、ケーブルでつないで遠隔操作する水中ロボット(ROV)を発進させる試験に成功したと発表した。発射管の中でROVとの通信を保つ防水ケースは、整備部隊が3Dプリンターで作った。同部隊によると、通常なら潜水艦1隻あたり約20万ドル(約3200万円)かかる改造をせずに済み、費用は材料費と人件費を合わせて1000ドル(約16万円)未満だった。
同部隊は2026年8月24日、ロサンゼルス級攻撃型潜水艦「USS Pasadena」で試験を実施した。使ったのはBlueye Roboticsの「Blueye X3」だ。同部隊によると、試験の目的は、潜航中の潜水艦から安く素早く水中を捜索する方法を探ることだった。試験は、潜水艦部隊の司令官だったRob Gaucher中将が始めた取り組みの一環だ。この取り組みはもともと、艦体の安全確認や外部機器の点検をする潜水員に、水中を探す道具を持たせる方法を探るものだった。同部隊はこの取り組みでBlueyeのROVを2台取得し、さまざまな使い方を試してきた。
課題は通信だった。海水で満たした魚雷発射管の中からROVを操るには、内部の配線を海水から守り、ROVとの高速な通信を途切れさせない防水の接続部が要る。チームは当初、発射管の扉に光ファイバーを通す部品を一時的に取り付ける案を検討した。しかし、この取り付けには1隻あたり約20万ドルかかる。
そこで、陸上の整備部隊(SIMA)の積層造形チームが、専用の防水ケースを設計した。チームは造形に、Formlabsの3Dプリンター「Form 4L」とレジン「Rigid 10K」を使った。整備部隊の別の部門が、ケースに低電圧の配線を組み込み、ROVのケーブルとつないだ。チームは発射管の外にも配線の束を用意し、信号がいくつもの接続部を通って途切れないようにした。Blueye Roboticsの技術者は、この配線を操作用のコントローラーにつなぐ作業を手伝った。
ROVは大西洋潜水艦部隊がすでに持っていたもので、残りは一般的な低電圧の配線と3Dプリントのケースだけだった。同部隊は、このROVが潜水艦の乗員にとって、近くの水中を捜索・点検するための安価な道具になるとしている。
射撃管制員のDavid Baker氏は「3Dプリンターで作ったものが実際に動き、乗員の現実の問題を解決しているのを見るのはやりがいがある」と述べた。同部隊は今後に向けて、ROVを扱う乗員の資格基準を作っている。