米国のウッズホール海洋研究所(WHOI)とMITの研究チームが、サンゴ礁の生物多様性ホットスポットを音と映像で自律的に発見・地図化する水中ロボット「CUREE(Curious Underwater Robot for Ecosystem Exploration)」を開発した。成果は2026年5月13日にScience Roboticsで発表された。プロジェクトを主導したWHOIのYogesh Girdhar氏が中心となり、WHOI Reef Solutions Initiativeの一環として開発が進んできた。
CUREEはカメラとハイドロフォン(水中マイク)、そして搭載コンピューターを組み合わせた小型AUV(自律水中航行体)で、1人で小型ボートから展開できる。サンゴ礁を遊泳しながら音と映像を同時にリアルタイム処理し、生物活動が活発な場所を特定する。パッシブ音響センシングでは、コシオリエビの発する音や魚の鳴き声など水中音景観を手がかりに音源を追跡し、80m先の音源から30m以内に自律的に接近できる。視覚的な検知と組み合わせることで、ホットスポットの発見を相互に検証する仕組みだ。
米領バージン諸島のカリブ海リーフでの実証では、大型のデンドロジラ柱状サンゴのまわりに生物多様性のホットスポットを発見した。これまでの音響による広域調査では約100平方m程度の解像度だったが、CUREEは1平方m未満の高解像度でホットスポットを特定できる。訓練を受けたダイバーによる手動調査と比べ、長時間・広範囲の自律運用が可能で、安全上のリスクも低い。
サンゴ礁は海洋面積の0.01%未満しか占めないが、海洋生物種の約25%が生活する生態系として知られる。水温上昇や過剰漁業によって世界規模で脅威にさらされており、モニタリングの効率化は保全活動に直結する。Girdhar氏は「CUREEは人間の観察を置き換えるものではない」と述べつつ、生物が集中する場所とその理由を迅速に把握することで保全担当者の意思決定を助けられるとしている。