色切り替え時の廃棄物を大幅削減、12色同時印刷の3Dプリンターがクラウドファンディング開始

FabScene(ファブシーン)| テクノロジーの「現場」を記録するメディア

香港のYUMIが、従来のマルチカラー3Dプリンターが抱える廃棄フィラメント問題を解決する「YUMI Model C」シリーズのクラウドファンディングをKickstarterで開始した。最大12色の同時印刷に対応しながら、パージタワー(色切り替え時の廃棄用構造物)を不要とし、フィラメントの無駄を大幅に削減する。

従来のマルチカラー3Dプリンターでは、色を切り替える際に前の色を押し出すための廃棄用構造物を作る必要があり、大量のフィラメントが無駄になっていた。YUMI Model Cでは独自のYMS(YUMI Material System)により、フィラメントをノズル近くでカットし、わずか10cmの引き戻しで色切り替えを実現。廃棄されたフィラメントは自動的に排出される仕組みを採用している。

最大印刷速度700mm/s、3サイズで展開

YUMI Model Cは、C235、C335、C435の3つのサイズで展開される。最大印刷速度は700mm/s、加速度は20,000mm/s²を実現し、220V/110V対応のヒートベッドは100°Cまで数秒で到達するとしている。

プリンターはKlipperファームウェアで動作し、2つの交換可能なプリントヘッドを用意する。ChromaX12ヘッドは最大240°Cまで対応し、複雑なマルチカラープリントに使用する。High-Flow DirectDriveヘッドは最大310°Cまで対応し、高温フィラメントやエンジニアリンググレード材料に対応する。

制御には4.3インチ静電容量式タッチスクリーンを搭載し、Wi-Fi 2.4GHz機能により、専用アプリ「YUMI | Lab」を通じてリモート操作が可能。16GBの内蔵メモリは32GBまで拡張でき、OrcaSlicerをはじめとするオープンソーススライサーとの互換性を持つ。

YUMIでは、3Dプリンター本体とは別に、13インチマルチポイント静電容量式タッチスクリーン「YUMI Penscreen」も提供する。パームリジェクション機能とアクティブスタイラス対応により、OrcaSlicer上で直接3Dモデルにペイントが可能。2本の指を使って3Dモデルの拡大、回転、カラーブレンドなどの操作を行える。

YUMIは2016年から3Dプリンティング分野で活動し、現在100色以上のフィラメントを提供している。同社のフィラメントラインナップには、PLA+、PETG、TPU、炭素繊維強化PLA複合材などが含まれる。

プリンターはオープンソース設計で、すべてのソースコードをGitHubで公開予定。スペアパーツも公式Webサイトで販売し、修理可能性を高める方針を示している。

価格は最小サイズのC235が1530香港ドル(約2万8700円)から。5色対応のC235パッケージは2826香港ドル(約5万3000円)、12色対応のC435パッケージは6081香港ドル(約11万4100円)で提供される。配送は2025年12月を予定している。

関連情報

YUMI 3D PRINTER(Kickstarter)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事の感想・意見をSNSで共有しよう
  • URLをコピーしました!