米Aircela、空気中のCO2からガソリンを製造する冷蔵庫サイズの装置を発表 2025年秋にも実用化へ

ニューヨークに拠点を置くスタートアップAircelaが2025年5月15日、空気中の二酸化炭素(CO2)と水、再生可能電力を使って化石燃料フリーのガソリンを製造する装置を開発したと発表した。冷蔵庫程度のサイズでモジュール設計となっており、オフグリッドや分散型の利用を想定している。

同装置は大気中からCO2を直接回収し、エンジンの改造を必要としない既存車両対応の燃料に合成する。5月20日にマンハッタンのガーメント地区の屋上で初回のパブリックデモンストレーションを実施し、リアルタイムでのガソリン製造を披露した。

2025年5月に実施したNYでのデモの様子(画像出典元:プレスリリース)
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DAC技術とオンサイト燃料合成を統合

同装置は直接空気回収(DAC)技術とオンサイト燃料合成を単一の配備可能な機械に統合したもので、硫黄、重金属、エタノールを含まず、現在のエンジンとインフラに完全対応している。

技術的基盤には、2000年代初頭に直接空気回収の概念を開拓した物理学者Klaus Lackner博士の数十年にわたる研究が活用されている。同博士は発表イベントに参加し、技術の詳細について説明した。

Aircelaのアプローチは従来の大規模集約型の合成燃料プラントとは異なり、完全にモジュール化され、即座に配備可能で、分散型生産向けに構築されている。住宅、商業、産業環境でプラグアンドプレイ方式で動作し、最小限のセットアップで運用可能とされている。

世界車両の90%が化石燃料、実用化は2025年秋を予定

同社の共同創設者兼CEOのEric Dahlgren氏は「私たちはプロトタイプではなく、動作する機械を作りました。これが実現不可能ではないことを人々に理解してもらいたい」と述べている。(画像出典元:プレスリリース)

世界の車両の90%以上が依然として化石燃料で動作している現状において、同技術は新しいインフラ、新しい車両、運転者の行動変化を必要とせずに運輸部門の脱炭素化への実用的な道筋を提供するとしている。

同社は2025年夏後半から生産規模拡大を開始し、住宅、商業、産業分野への配備を支援する計画で、2025年秋には初回配備を開始する予定だ。

Aircelaは2019年にMia DahlgrenとEric Dahlgrenによって設立され、数年以内に開発から実証段階へと迅速に進展している。

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FabScene編集部

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