
Xiaomiは2025年5月22日、同社初のSUV型電気自動車「YU7」を正式発表した。高性能ラグジュアリーSUVとして位置づけられる同モデルは、最大出力690PS(508kW)、0-100km/h加速3.23秒という強力な動力性能を持ちながら、CLTC基準で最大835kmの航続距離を実現。価格は約25万元(約498万円)と予想され、テスラ モデルYの中国価格26万3500元(約525万円)と同等の価格帯での展開が見込まれる。
YU7は全長4999mm、全幅1996mm、全高1600mm、ホイールベース3000mmの中型から大型SUVサイズ。テスラ モデルYと比較して全長で202mm、ホイールベースで110mm長く、より広い室内空間を提供する。空気抵抗係数はCd値0.245と、スポーツSUVとしてはクラストップレベルの空力性能を達成した。

動力性能は、Xiaomi HyperEngine V6s Plusモーターを搭載。セグメント化された磁気鋼技術により、従来のモーターと比較して損失を大幅に削減し、最大回転数22,000rpm、最大トルク528N・mを実現。デュアルモーター4輪駆動バージョンでは、最大出力690PS、ピーク出力508kWを発揮する。
バッテリーと充電性能では、全モデルに800Vシリコンカーバイド高電圧プラットフォームを採用。テスラ モデルYの400Vアーキテクチャーを上回る技術で、10%から80%までの充電時間は12分、15分の充電で620kmの走行が可能。航続距離は、エントリーモデルでも835km(CLTC基準)を実現し、テスラ モデルYの719kmを大幅に上回る。
インテリアでは、業界初の量産型「Xiaomi HyperVision Panoramic Display」を搭載。1.1m幅の超ワイドディスプレイは、ミニLED技術を採用し、108PPDの高解像度と1200nitsのピーク輝度を実現。16.1インチのセンタータッチスクリーンに加え、ダッシュボード全体に広がるパノラマディスプレイが特徴的だ。


シートは前席にゼログラビティシートを採用し、10点マッサージ機能を搭載。後席は100度から135度まで電動調整可能なリクライニング機能を備える。内装の高接触部分には100%ソフトタッチ素材を使用し、OEKO-TEX Class 1国際認証を取得している。
安全面では、Xiaomiが新たに開発した「2200MPa超高強度鋼」を採用。これは現在量産されている自動車用熱間成形鋼の中で最も強度が高く、1500MPa熱間成形鋼と比較して引張強度が40%、降伏強度が24%向上している。
自動運転支援システムは、NVIDIA DRIVE AGX Thorチップ(700 TOPS)を搭載。全グレードにLiDAR、4Dミリ波レーダー、11台のHDカメラ、12台の超音波レーダーを標準装備する。LiDARの検出距離は200mに達し、消費電力は55%削減されている。
YU7は3つのグレード(スタンダード、プロ、マックス)で展開。エントリーモデルのスタンダードでも96.3kWhバッテリーで835kmの航続距離を実現し、100kWh未満のバッテリーを搭載した純電気SUVとして最長の航続距離となる。4輪駆動のプロ(760km)とマックス(770km)も、4輪駆動純電気SUVカテゴリーでトップクラスの航続距離を誇る。
正式な販売開始は2025年7月を予定。Xiaomiの前作セダン「SU7」は発売から1年以内にテスラ モデル3の売上を上回った実績があり、YU7も中国市場でテスラに対する強力な競合製品となることが予想される。