100均素材とそろばん玉で全方向移動3脚ロボットを作る

FabSceneの読者投稿フォームに、100均素材を活用した全方向移動ロボットの作品が寄せられた。片山均氏が製作した「チェビシェフ横すべり脚で全方向移動&回転ロボ」は、そろばん玉を脚先に配置し、チェビシェフリンクと平行リンクを組み合わせた機構により、その場回転と全方向移動を実現している。

このロボットは、micro:bit 2個とSG90-HVサーボモーター3個を制御系に使用し、竹箸や竹串、そろばんといった100均で入手可能な素材を主要部品として構成されている。重量は見た目以上に軽く、狭い場所でも滑らかな移動が可能だという。

目次

独自の「横すべり脚」機構を採用

本作の特徴は、製作者が「横すべり脚(Side-Slide Legs)」と名付けた独自の移動機構にある。脚の先端に自由回転するそろばん玉を取り付け、脚全体をリンク機構で駆動する構造を採用している。そろばん玉が接地面で滑り、リンク機構が脚の動きを生み出すことで、オムニホイールにおけるローラーと軸本体のように機能が分担された脚となっている。これを3本、120度間隔で配置して独立に動かすことで、滑るような全方向移動とその場回転が可能となっている。

手書きの設計図(画像出典元:作者提供、以降の画像も同様)

チェビシェフリンクは、19世紀のロシアの数学者パフヌティ・チェビシェフが考案した機構で、回転運動を直線運動に近い軌跡に変換できる。この機構と平行リンクを組み合わせることで、脚先のそろばん玉が効率的な滑走軌道を描く。

使用部品は電子部品としてmicro:bit×2、SG90-HVサーボモーター×3、AMS1117-3.3降圧モジュール×1、単4電池ボックス2個、スイッチ、ミニブレッドボードなど。100均素材としてそろばん1丁、巻きす1枚、竹箸、竹串、木製スティック、ミニストロー、画鋲、足長画鋲、網押さえゴムを使用している。

チェビシェフリンクを活用した歩行イメージ図

この作品は、片山氏による全方向移動ロボットシリーズの3作目にあたる。第1作は4モーター構成でメカナムすべり脚を搭載、第2作は2モーター構成でシンプルな操作性を実現したが、その場回転ができなかった。本作は3モーター構成で歩行感と自由な制御性の両立を図っている。

操作方法は直感的で、コントローラー用のmicro:bitを傾けるとその方向にロボットが移動し、AボタンとBボタンで左右への回転が可能。MakeCodeでビジュアルプログラミングによる制御コードも公開されている。

片山氏は「シミュレーターではうまくいきそうに見えていたが、実際には干渉する部分があり、木製スティックをカッターナイフで削って対処する必要があった」と振り返っている。今後は受動歩行と組み合わせた作品の構想を練っているという。

関連情報

八幡浜の三瀬医院
片山 均@八幡浜の三瀬医院(X)

FabScene編集部

目次