
香港のHOZO Designが、ワイヤレス超音波カッター「NeoBlade」を開発した。40kHz超音波振動を利用した精密カッターで、従来の有線タイプと比較して作業の自由度を大幅に向上させている。材料に応じて自動的にパワー出力を調整する機能を搭載し、最小限の力で精密なカットを実現する。
NeoBladeは超高周波でブレードを振動させることで、熱したナイフでバターを切るような滑らかなカットを可能にしている。振動により微細な切れ込みを作り出し、様々な材料を効率的に切断できる。特に複雑な3Dプリント作品や精密なDIYプロジェクトでの使用を想定して設計されており、従来の超音波カッターやロータリーツールでは困難だった繊細な作業に対応している。
ワイヤレス設計と冷却システム
NeoBladの最大の特徴は完全ワイヤレス設計にある。バッテリーは交換式で、専用の急速充電ドックを使えば、30分で充電が完了する。TurboDockは2つのスロットを備え、NeoBlade本体と予備バッテリーを同時に充電できるため、作業の中断時間を最小限に抑えられる。
安全面では、バッテリーを90度反時計回りに回転させることで電源を遮断するチャイルドロック機能を搭載している。
他の超音波カッターとは異なり、NeoBladには内蔵ターボファンによる冷却システムが組み込まれている。側面のベントから空気が流入・流出することでブレードを冷却し、手に持つ部分の温度上昇を防ぐ。これにより連続使用時でも精密で清潔なカットを維持できる。
専用ツールによる最適化
製品には6種類のブレードを含むトライアルキットが付属し、材料や用途に応じた使い分けが可能だ。キャップはNeoBlade本体の保護とブレード交換用ドライバーの収納を兼ねた設計となっている。
専用の「NeoCutting Mat」は次世代ナノ材料で製造され、超音波カッターでの使用に特化している。従来の3層カッティングマットと比較して3倍の耐久性を実現し、通常のカッターナイフ使用時でも優れた耐久性を発揮する。一般的なカッティングマットを超音波カッターで使用することは、材料の損傷や作業台への悪影響を招く可能性がある。
連続モードでは5分ごとに自動シャットオフ機能が作動し、過熱防止とバッテリー寿命延長を図っている。チタン合金トランスデューサーの採用により、超高周波振動下での長期信頼性を確保している。
HOZO Designは従来の超音波カッターがMaker向けに設計されていない現状を課題とし、ユーザーから意見を収集して製品開発を行った。測定・レベリング分野から切断分野へと事業領域を拡大し、「進化したメイカー」向けの高性能工具の提供を目指している。
環境配慮の取り組みとして、使用済みブレードの安全回収システムを導入している。ブレードコレクションには安全な廃棄用スロットがあり、挿入されたブレードが落下しない構造でリサイクル作業者の安全を確保している。
NeoBladeは記事執筆時点で既に7200万円以上の支援を集めている。