Raspberry Pi 5で本格NAS構築、4台SSD搭載の押出アルミケースを自作

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Raspberry Pi 5とRadxa Penta SATA HATを組み合わせた本格的なネットワークアタッチドストレージ(NAS)の自作方法を紹介する動画がYouTubeで公開された。「Uber Project」チャンネルの運営者が、4台のSATA SSDを搭載可能な押出アルミニウムケースの設計から製作プロセスを記録している。

プロジェクトの発起者は、既存のGoople Podコンポーネントを活用しながら、より長い押出アルミニウムケースを設計してNASシステムを構築する計画を発表した。現在のGoople Pod Pro 5ケースを延長し、Raspberry Pi 5を側面に配置、その上部にRadxa Penta SATA HATを設置する構成を検討している。

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ハードウェア設計と技術的課題

Radxa Penta SATA HATは、4台のSATA SSDを接続できるハードウェア拡張ボードだ。各SSDは個別のコネクターに接続され、RAIDアレイとして構成できる。このHATはフレックスケーブルを使用してRaspberry Pi 5のPCIe(FPC)コネクターに接続される。

電力供給についても詳細が検討されている。SATA SSDは1台あたり約3W、4台で合計約12Wの消費電力となる。Raspberry Pi 5の最大消費電力約10Wと合わせて22Wとなり、Raspberry Pi 5の27W電源アダプターの範囲内で動作可能だ。ただし、より消費電力の大きなハードドライブを使用する場合は、12V電源ジャックが必要になる可能性がある。

新しいケース設計では、いくつかの技術的課題の解決が必要だ。まず、現在のRadxa SATA HATをそのまま使用すると、12Vジャックがヒートシンクのフィンと干渉する問題がある。多くのユーザーがプライヤーでヒートシンクのフィンを除去して対処しているが、このプロジェクトではアダプターボードを設計して解決する。

このアダプターボードは、Raspberry Pi 5の40ピンGPIOヘッダーの信号を中継し、フレックスケーブル経由で上部に配置されるボードに接続する機能を持つ。同時に、Radxa HATの高さを上げることで12Vジャックとヒートシンクの干渉を回避し、エアフローの改善も期待できる。

プロジェクトでは、USB Power Delivery(USB PD)から12Vへの変換ボードの追加も計画されている。さらに、停電時の無停電電源装置(UPS)機能も検討中だ。突然の電源断によるファイルシステムの破損は、NASにとって致命的な問題となる可能性がある。UPS機能により、グレースフルシャットダウンが可能になり、ファイル破損のリスクを大幅に低減できる。

RAIDアレイの構成により、単一ドライブの故障に対する冗長性も確保される。これにより、ハードウェア障害時の自動復旧機能も利用できるようになる。ケース背面には排気ファンの取り付けも予定されており、パネルマウント式のファンにより、ケース内のエアフローを確保し、ハードドライブと全体的なシステムの冷却を行う設計だ。

現在のプロジェクトは実験的な段階にあり、複数回の動画に分けて設計プロセスが公開される予定だ。初期段階では3Dプリンティングによる試作を行い、設計が確定した後にCNC加工機での製造を検討している。制作者は個人向けのデスクトップCNC機とより大型の業務用CNC機へのアクセスがあると述べているが、後者は現在オフラインで復旧作業が必要な状況だ。

代替手段として、オンライン加工サービスへの外注や、既存の製造パートナーとの協業も検討されている。プロジェクトの第1版では上部ロジックボードの実装は見送られ、第2版でフレックス延長ケーブルを使用した実装が計画されている。

すべての設計ファイルはオープンソースとしてGitHubで公開される予定で、他の開発者も同様のNASエンクロージャーを構築できるようになる。アメリカ国内のユーザーに対しては、3Dプリンティング部品の提供も検討されている。

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FabScene編集部

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