小型USB-C電源制御デバイス「PocketPD」がオープンソースで公開、100g未満で最大100W対応

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Raspberry Pi RP2040を使用したポケットサイズのUSB-C電源制御デバイス「PocketPD」がオープンソースプロジェクトとして公開された。Redditのraspberry_piコミュニティで2025年8月10日に開発者のCentyVin氏が発表した。

PocketPDは、USB-C PD(Power Delivery)充電器から任意の電圧と電流を取り出せるデバイスだ。重量は100g未満で、対応充電器使用時に3.3Vから21Vまでを20mV刻み、電流制限を1Aから5Aまで50mA刻みで調整できる。最大出力は100Wとなっている。

PPS機能を活用した可変電源

このデバイスの特徴は、USB-C PD 3.0/3.1のPPS(Programmable Power Supply)機能を活用している点だ。PPSは本来スマートフォンのバッテリー充電用に設計されたが、汎用電源として使用できる仕様を持つ。PocketPDはこの機能をベンチ電源として活用し、電圧と電流の細かな調整を可能にしている。

出力端子にはバナナジャックと着脱式ネジ端子(3.5mmピッチ)を搭載している。保護機能として、入力側にTVS/ESD保護、出力側にTVS/ESD保護、逆電流保護、短絡保護を内蔵している。

制御はRP2040マイコンで行われ、小型ディスプレイとロータリーエンコーダー、ボタンによる操作が可能だ。WiFiやBluetoothなどの無線機能は搭載せず、物理的な操作のみで制御する設計により高い信頼性を重視している。

オープンソース設計とカスタマイズ性

プロジェクトはGitHubでハードウェア設計(PocketPD_HW)とファームウェア(PocketPD)の両方が公開されている。ガーバーファイルとファームウェアが提供されており、個人での製作が可能だ。

開発者は今後、Anderson Powerpoleコネクタに対応したバージョンも計画しており、ドローンやアマチュア無線用途での汎用CV/CC充電器としての展開を検討している。また、限定数のPowerpole版を製作中で、2025年9月に画像公開予定としている。

筐体は3Dプリント製で、PETG材料を使用して耐熱性を確保している。底面には磁石が内蔵されており、金属面への固定も可能だ。

関連情報

PocketPD GitHubリポジトリ

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