Axalta、1200°Cの高温に耐えるEV用バッテリーコーティング2製品を発表

FabScene(ファブシーン)

Axalta Coating Systemsが、電気自動車(EV)用バッテリーの安全性向上を目指す2つの新製品を2025年10月6日に発表した。「Alesta e-PRO FG Black」と「Alesta e-PRO Dielectric Gray」は、バッテリーの熱暴走による火災リスクに対応するため、極限の高温保護と電気絶縁性能を備えている。

バッテリー火災のリスクに対応

EVのバッテリーで発生する熱暴走は、1つのセルが過熱すると連鎖反応を引き起こし、1200°C以上の極限の熱、炎、煙を急速に放出する現象だ。発生頻度は低いものの、火災や爆発、構造の損傷につながる深刻なリスクとなっている。

「Alesta e-PRO FG Black」は、熱安定性と二次火災保護に特化した高性能パウダーコーティングだ。1200°Cまでの極限温度下でも発火、膨張、煙の発生を抑制し、熱による火災の拡大を遅らせる設計となっている。直火に1200°Cでさらされても煙を発生せず、発火しないことが確認されている。製品は直火暴露試験、単一セルの熱暴走試験、UL 2596 TaG試験(米国の安全規格に基づく熱安定性試験)など厳格なテストを経ている。

一方、「Alesta e-PRO Dielectric Gray」は、高電圧環境での電気絶縁に特化したエポキシベースのパウダーコーティングだ。EVのバッテリーパックや定置型エネルギー貯蔵システムにおいて、高い絶縁性能を発揮する。耐電圧試験での合格率が高く、信頼性の向上に寄与する。製品はUL 94 V0(米国の難燃性試験規格)やIEC 60243-1(国際電気標準会議による絶縁破壊試験規格)などをクリアしている。

両製品は、検証済みのOEMバッテリーシステムの一部として使用される場合、熱安定性と電気絶縁性能の向上に貢献する。現在、複数の大手自動車メーカーやTier 1サプライヤー(自動車メーカーに直接部品を供給する一次サプライヤー)が、独自の設計や量産前部品承認プロセスに基づいて追加テストを実施している。

世界のEV市場は2025年に2000万台を超える見込みで、世界で販売される自動車の4分の1以上を占めると予測されている。Axaltaは、EVを製造する世界の自動車メーカー向けにこれらのコーティングを提供する。

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プレスリリース(Axalta Coating Systems)

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