マクニカ、京大発スタートアップのペロブスカイト太陽電池を搭載した屋内評価用IoTキットを開発

FabScene(ファブシーン)

マクニカは2025年11月18日、エネコートテクノロジーズが開発したペロブスカイト太陽電池を搭載した「屋内評価用ペロブスカイトIoTキット」を開発し、受注を開始したと発表した。ペロブスカイト太陽電池を使った屋内評価用キットは業界初という。

エネコートテクノロジーズは、京都大学化学研究所若宮研究室の研究成果を基に設立されたスタートアップで、ペロブスカイト太陽電池の材料開発とモジュール製品化に取り組んでいる。同社が開発するペロブスカイト太陽電池は、曇天や室内照明のような低照度環境でも高い発電効率を維持する特性を持ち、「どこでも電源」(登録商標)として展開している。

ペロブスカイト太陽電池は、薄く軽量で曲げられる特性を持ち、材料によって半透明化も可能な次世代太陽電池だ。少ない光量でも発電できるため、小型電子機器の独立電源やビル壁面、宇宙空間など、従来の太陽光パネルを設置できなかった場所での利用が見込まれる。また、大面積塗布技術により製造コストの大幅削減も期待されている。

屋内IoT機器の電源課題に対応

今後、日常環境に無数のセンサが配置されると予測される中、センサの電源確保は大きな課題となっている。エネコートテクノロジーズのペロブスカイト太陽電池は、低照度下でも高い発電効率を維持できることから、この課題を解決する電源として注目されている。

マクニカは半導体商社として、AI・IoT分野で研究開発と実装の実績を持つ。同社は2022年からエネコートテクノロジーズと協業し、ペロブスカイト太陽電池を搭載した空気質センサを開発して実証実験を進めてきた。

今回開発したキットは、マイコンを介した無線通信に対応し、屋内での発電量やIoT端末の基本動作を検証できる。温湿度センサと照度センサを搭載し、ペロブスカイト太陽電池による発電性能を実環境下で確認できる。

電源構成はハイブリッド方式を採用した。余剰電力は二次電池に蓄電し、発電不足時は二次電池、二次電池の容量不足時は一次電池で駆動する仕組みだ。これにより夜間や暗所でも継続動作が可能となる。外形寸法は155.3mm×125.3mm×25mmとなっている。


関連情報

プレスリリース(マクニカ)

製品詳細(マクニカ)

エネコートテクノロジーズ

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