連続炭素繊維を造形できる3Dプリンター「FibreSeeker 3」——引張強度900MPaでアルミ合金の2倍以上

FabScene(ファブシーン)

米FibreSeekは、連続炭素繊維(Continuous Carbon Fibre)を造形物に埋め込める3Dプリンター「FibreSeeker 3」をKickstarterで発表した。

従来、連続繊維を扱える3Dプリンターは数万ドル以上する産業用機器に限られていた。FibreSeeker 3は、これを個人ユーザーやスタートアップ向けの価格帯で提供することを目指している。

FibreSeeker 3が採用するのは、CFC(Composite Fibre Coextrusion:複合繊維共押出し)と呼ばれる技術だ。溶融した熱可塑性樹脂に連続繊維を埋め込みながら押し出すことで、強度が必要な箇所にフルレングスの繊維を正確に配置できる。短く刻んだチョップドファイバーをフィラメントに混ぜる方式と異なり、繊維が途切れずに造形物全体を補強するため、より高い強度を得られる。

造形物の加重テストの様子

造形物の引張強度は最大900MPaに達する。FibreSeekによると、これは6061アルミニウム合金(290〜310MPa)の2倍以上に相当する。

プリントヘッドにはデュアルノズルを搭載し、3つの動作モードを切り替えられる。「High Speed Mode」はFFF(熱溶解積層)ノズルのみを使い、最大500mm/sの高速造形が可能。「High Strength Mode」ではCFCとFFFの両ノズルが連携し、樹脂と連続繊維を組み合わせた複合材パーツを造形する。「Hyper Strength Mode」ではCFCノズルのみで、繊維含有率の高い高強度パーツを作成できる。

造形サイズは300×300×245mmで、チャンバー温度は最大65℃まで加熱できる。対応素材はPLA、PETG、PA(ナイロン)、PACF(カーボンファイバー入りナイロン)、PC、ABSのほか、連続炭素繊維やガラス繊維にも対応する。

専用スライサー「Aura」は、パーツの荷重分布を分析して繊維の配置経路を最適化する機能を備える。造形精度は±0.05mm(500mm/s時)で、自動レベリング機能やフィラメント切れ検知機能も搭載している。本体サイズは515×585×540mm、重量は32kg。

Kickstarterでの価格はSuper Early Birdが2699ドル(約40万円)、Early Birdが2899ドル(約43万円)となっている。連続カーボンファイバーフィラメント(500m巻き)は1本49ドル(約7400円)で、他社製品の10分の1程度の価格を掲げている。2026年2月からの出荷を予定している。


関連情報

FibreSeeker 3(Kickstarter)

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