
富士フイルムは、1カートリッジあたり最大100TB(非圧縮時40TB)のデータを記録できる磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium10(40TB)データカートリッジ」を2026年1月に発売する。
磁気テープは、大容量データの長期保管に使われるストレージメディアで、ネットワークから物理的に切り離した状態(エアギャップ環境)で保管できるため、ランサムウェアなどサイバー攻撃によるデータ損失リスクを低減できる。データセンターや大手IT企業を中心に、バックアップ用途として広く採用されており、磁気テープの出荷容量は2020年以降、年率10%超の成長を続けている。
LTO Ultrium10(40TB)は、2025年6月に発売した「LTO Ultrium10(30TB)」の上位モデルにあたる。同社独自の「微粒子ハイブリッド磁性体」を採用し、磁性粒子の微細化によって高い面記録密度(磁気テープの単位面積あたりに記録できるデータ量)を達成した。さらに独自の薄層化技術でテープの厚みを約2割薄くし、1巻あたりのテープ長を約3割伸ばすことで、LTO10(30TB)の約1.3倍となるシリーズ最大の記録容量を達成している。
使用推奨環境を拡大
耐久性に優れたベースフィルムの採用により、使用推奨環境も拡大した。温度範囲は従来の15~25℃から15~35℃に広がり、湿度は温度15~25℃の条件下で最大80%まで対応する。高温多湿な環境でも安定して使用でき、運用環境の選択肢が広がった。
主な仕様は以下のとおり。最大容量は100TB(非圧縮時40TB)、最大転送レートは1000MB/秒(非圧縮時400MB/秒)、テープ幅12.65mm、テープ厚み4.0μm、テープ長1337m。価格はオープンで、5巻×4、20巻×1のほか、プラスチック包材を約890g削減した簡易包装製品(20巻×1)もラインアップする。

