
タッチパネル付きの電気調理鍋を分解してみたら、中身は思ったより高性能なコンピュータだった。ならばゲームを動かしてみよう——そんな発想から、YouTuberのAaron Christophel氏がKrupsのスマート調理鍋「Cook4Me」で1993年発売の名作シューティングゲーム「Doom」を動作させた。
Cook4Meは加熱と加圧ができるだけの単純な調理鍋だが、タッチスクリーンとWi-Fiを搭載している。Christophel氏は設定画面に表示されたMACアドレスの先頭3バイトがEspressif社のものだと気づき、分解を開始した。
内部は明確に2つの基板に分かれていた。底部の基板にはSTM製マイコン、温度センサー、ヒーターリレー、安全スイッチが載っている。加熱制御とフェイルセーフを担当するシンプルな構成だ。
一方、4本のケーブルで接続された前面のタッチスクリーン基板には、予想以上に強力なハードウェアが搭載されていた。Wi-FiモジュールはESP32で、AWS経由のMQTT接続を行うよう設計されていた。ただし今回の改造では使用しない。
メインプロセッサはRenesas R7S721031VZ。ARMコアを搭載した組み込み向けSoCで、128MBのフラッシュと128MBのRAMを備える。静電容量式タッチスクリーンコントローラ、ディスプレイドライバ、ブザー、外部EEPROM、未実装のSDカードスロットも確認できた。
Christophel氏はSWDフラッシャーを接続してファームウェアをダンプ。ブートローダのログを手掛かりにLCDの初期化方法をリバースエンジニアリングし、新しいファームウェアを作成してRenesasチップに書き込んだ。その上にDoomを移植するラッパーコードを実装し、タッチスクリーンの各領域をボタンにマッピングした。

結果、Cook4Meのディスプレイ上でDoomがスムーズなフレームレートで動作するようになった。「こんなものが存在するなら、やるしかなかった」とChristophel氏は語っている。なお、加熱系統の基板には一切手を加えていないため、改造後も調理機能は(理論上)維持されている。

