MIT、AIで3Dモデルをカスタマイズしながら強度を保つ「MechStyle」発表

FabScene(ファブシーン)

米MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(CSAIL)は2026年1月14日、生成AIで3Dモデルをカスタマイズする際に物理シミュレーションで強度を確保するシステム「MechStyle」を発表した。テキストや画像で指示を出すだけで、見た目と実用性を両立したオリジナルの3Dプリント可能なモデルを作成できる。

生成AIは画像や動画では成果を上げているが、物理的な物体の作成には課題があった。AIで3Dモデルのデザインを変更すると、見た目は良くても実際に作ると壊れてしまうケースが多かったからだ。CSAIL研究チームの調査では、従来手法でAIが修正したモデルのうち構造的に実用可能なものはわずか26%だった。

MechStyleは、生成AIによるデザイン変更と物理シミュレーションを組み合わせてこの問題を解決した。ユーザーが3Dモデルをアップロードするか、花瓶やフックなどのプリセットを選び、「サボテンのようなフックを作って」と指示すれば、サボテンの見た目でフックとしての強度を持つモデルが生成される。

システムの核心は有限要素解析(FEA)という物理シミュレーション技術だ。3Dモデルのどの部分が現実的な重さに耐えられるか、どの部分が弱いかをヒートマップのように可視化する。AIがデザインを変更するたびに、弱くなっている部分を検出してそれ以上の変更を防ぐ。

「AIを使って、実際に作って使える物を作りたかった」と、論文筆頭著者のMIT PhD学生Faraz Faruqi氏は説明する。「個人のスタイルを反映しながら、日常使用に耐える物を作れます」

ただし、毎回シミュレーションすると処理が遅くなる。そこでMechStyleは、モデルの特定部分で危険な変更が加えられた場合のみ物理シミュレーションを再実行する仕組みを採用した。この方法により、最大100%構造的に実用可能なオブジェクトを生成できた。

実際の作成例として、魚のウロコのような青とベージュの斑点模様を持つ眼鏡、ピンクと水色の市松模様が入った岩のような質感のピルケース、赤いマグマのようなランプシェードなどがある。さらに、指の怪我を補助する添え木や運動障害を支援する食器グリップといった補助器具も設計できる。

システムには2つのモードがある。「フリースタイル」モードではAIがさまざまなスタイルを素早く可視化し、「MechStyle」モードでは構造への影響を慎重に分析する。ユーザーはまずフリースタイルでアイデアを探り、その後MechStyleモードで実用性を確認できる。

現時点では、元々構造的に問題があるモデルを改善することはできないが、将来的にはゼロから3Dモデルを生成する機能も追加予定だ。これにより、3Dモデルに詳しくない人でも簡単に独自のモデルを作れるようになる。

関連情報

Generative AI tool helps 3D print personal items that sustain daily use(MIT News) Paper: MechStyle(ACM Digital Library)

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