ラズパイでレコード型Spotifyプレイヤー、10ドルのコースターが実際に回転

FabScene(ファブシーン)

Spotifyは便利だ。スマホをタップすれば瞬時に何百万曲もの音楽にアクセスできる。しかし、レコードを棚から選び、プレイヤーに載せ、針を落とすあの物理的な体験は失われた。この問題に対し、Maker fatihak氏はRaspberry PiとRFID技術を組み合わせた解決策を生み出した。

実際にレコードが回転し、トーンアームで再生を制御できる。しかし音楽はSpotifyからストリーミングされる。アナログの操作感とデジタルの利便性を融合させた設計だ。

プロジェクトのきっかけは数年前に贈られたビニールレコード型コースターだった。見た目は良かったが、コースターとしては機能的でなく、結露の跡を残すだけだった。fatihak氏はこれを何か別のものに変えることにした。

ベースとなるのはAmazonで約10ドルで購入できるビニールレコード型コースターセットだ。6枚のミニレコードとレコードプレイヤー風スタンドが含まれ、スタンドにはトーンアームも付属する。

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制御にはRaspberry Pi Zero 2W、レコード検出にはRC522 RFIDリーダーとNFCステッカータグを使う。レコードを回転させる28BYJ-48ステッパーモーターはULN2003ドライバーボードで制御する。トーンアームの位置検出にはA3144ホール効果センサーを使用し、トーンアームに取り付けた2mmマグネットで再生と停止を切り替える。

筐体は3Dプリントで製作する。デジタルノギスでコースタースタンドを測定し、3Dモデルを設計した。筐体上部の内側段差でコースタースタンドをネジなしで固定し、すべての電子部品の取り付け機構を組み込んだ。プラッターはステッパーモーターのシャフトに取り付けられ、レコードを回転させる。トーンアームには3Dプリント製マグネットホルダーを装着した。筐体前面のスピーカーグリルがリアルなレコードプレイヤーの外観を実現している。

ソフトウェアはPythonで実装されている。Spotify API for Developersでアプリを作成し、認証情報を取得する。セットアップスクリプトがSpotifyアカウントとの接続を確立し、各レコードにSpotify URIを割り当てる。URIはデスクトップアプリで曲やアルバムの3点メニューから取得できる。

実際の動作を見てみよう。トーンアームが所定の位置に移動すると、ステッパーモーターがレコードを回転させ始める。RFIDリーダーが新しいタグを検出すると、Spotify APIを呼び出して対応するトラックを再生する。システムは現在の再生位置も記憶するため、同じトラックを停止して再開すると、中断した位置から自動的に再開される。

注目すべき点は、このレコードプレイヤーがアクティブなSpotifyデバイス(スピーカー、スマートフォン、コンピューターなど)で再生を制御することだ。つまり、家中のSpotify対応機器で音楽を楽しめる。

fatihak氏はこのプロジェクトをオープンソースとして公開している。GitHubリポジトリには完全な配線図、Pythonコード、インストールスクリプトが含まれる。3Dプリントファイルは別途Patreonで公開されている。

プロジェクトには拡張の余地も十分にある。ロータリーエンコーダーで音量制御を追加したり、ESP32を使用してカスタムPCBを設計したり、筐体に直接スピーカーを統合したりできる。fatihak氏にとってはエレクトロニクスとカスタム3D設計を組み合わせた初めてのプロジェクトだったが、非常に楽しい経験だったという。

デジタル音楽の便利さを保ちながら、アナログレコードの物理的な体験を蘇らせる。このアプローチは、テクノロジーが失わせたものを、テクノロジーで取り戻す好例と言えるだろう。

関連情報

RFID-Record-Player(GitHub)

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