
米ハーバード大学の研究チームは2026年2月6日、空気を送り込むことで予測可能な形状変化を実現するソフトロボットを3Dプリントする新技術を発表した。従来の鋳型やモールドを使わず、複雑な動きを持つソフトロボットを迅速に製作できる。将来的には、個人のMakerが医療用グリッパーや柔軟なアクチュエーターを自作する際の選択肢となる可能性がある。
研究成果は学術誌「Advanced Materials」に掲載された。研究を主導したのは、大学院生のJackson Wilt氏と元ポスドク研究員のNatalie Larson氏(現スタンフォード大学助教授)で、Jennifer Lewis教授の研究室で行われた。Lewis教授はハーバード大学John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences(SEAS)のHansjorg Wyss Professor of Biologically Inspired Engineeringを務める。
柔軟で生体適合性のある素材で作られたソフトロボットは、医療から製造業まで幅広い産業で需要が高まっている。しかし、特定の用途に合わせてソフトロボットを正確に設計・制御することは長年の課題だった。
新技術は「ロータリーマルチマテリアル3Dプリント」と呼ばれる手法を採用している。1つのノズルから2つの材料を同時に押し出すことができ、ノズルを回転させることでインクをカスタマイズ可能なパターンで押し出す。研究チームは、この手法を用いて柔軟なポリウレタン外殻と、ヘアジェルによく使われるポリオキサマーという高分子でできた内部チャネルを持つフィラメントを作成した。
プリンタノズルの設計、回転速度、材料の流量を正確に制御することで、研究者は各内部チャネルの方向、形状、サイズをプログラムした。外殻が固まった後、内部の高分子を洗い流すと、空気圧をかけることで曲がったり変形したりする中空チャネルを持つ管状構造が残る。
「単一の出口から2つの材料を使い、ロボットが膨らんだときに曲がる方向をプログラムするためにそれを回転させることができる」とWilt氏は説明する。「私たちの目標は、さまざまな用途に向けて柔らかく、生物にインスパイアされたロボットを作ることだ」
研究チームは、この技術の実証として花のようなアクチュエーターと5本の指を持つ手型グリッパーを製作した。これらは空気を送り込むと開いたり巻いたりする動作を実現している。
Larson氏は「この研究では鋳型を使わない。構造物をプリントし、迅速にプログラムし、アクチュエーションを素早くカスタマイズできる」と強調する。
研究チームは今後、医療や製造業の分野でこの3Dプリント手法の応用可能性を探求する予定だ。

