
中国の東華大学などの研究チームは2026年1月、太陽光を当てると充電効率が向上する新しいタイプの電池を開発したと発表した。通常の充電に加えて太陽光も利用できるため、屋外での使用時に電池の持ちが大幅に改善される。研究成果は学術誌「eScience」に掲載された。
開発されたのは「亜鉛空気電池」と呼ばれるタイプの電池で、空気中の酸素を使って発電する。材料が安価で安全性も高いため、将来的にはスマートウォッチなどのウェアラブル機器や、停電時の非常用電源として期待されている。ただし、これまでは充電に時間がかかり、長時間使うと性能が落ちやすいという課題があった。
研究チームが開発した新しい電池は、太陽光を当てると充電・放電の効率が大きく向上する。電池内部に組み込まれた特殊な触媒が、太陽光のエネルギーを利用して化学反応を加速させる仕組みだ。この触媒は炭素材料にコバルトという金属を組み合わせたもので、太陽光が当たると電子の動きが活発になり、充電がスムーズに進む。
実験では、太陽光を当てた状態で1100時間以上(約45日間)連続して充放電を繰り返しても、性能がほとんど低下しなかった。また、曲げても壊れないフレキシブルタイプの試作品も作られており、スマートウォッチのバンドや、衣服に組み込む電池としての応用も考えられている。
従来のリチウムイオン電池は、充電には必ず電源が必要だった。今回の電池は太陽光という「コスト不要のエネルギー」も活用できるため、アウトドア用の機器や、途上国での電力供給が不安定な地域での利用に適している。研究チームは「太陽光を単なるエネルギー源ではなく、電池の性能を引き出すスイッチとして使えることを示した」と説明する。
ただし、現時点では研究段階で、実用化には量産技術の確立やコスト削減が必要となる。研究チームは今後、電池の大型化や寿命のさらなる延長に取り組む方針だ。将来的には、太陽光パネルと組み合わせた家庭用蓄電システムや、災害時の非常用電源としての展開も視野に入れている。
関連情報
Dual-site catalysts and light synergy redefine zinc–air battery efficiency

