核融合発電の実用化へ一歩前進、国内スタートアップと老舗メーカーが製造装置を完成

FabScene(ファブシーン)

Helical Fusionは2026年2月5日、スギノマシンと共同で、核融合炉の心臓部となる「高温超伝導コイル」を製作するための専用マシンを完成させたと発表した。

核融合発電は、太陽と同じ仕組みでエネルギーを生み出す次世代の発電方法で、二酸化炭素を排出せず、燃料も海水から取れる水素を使うため「究極のクリーンエネルギー」として期待されている。ただし、実用化には超高温のプラズマ(1億度以上)を安定して閉じ込める技術が必要で、世界中で開発競争が続いている。

Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、らせん状のコイルで強力な磁場を作り、プラズマを閉じ込める方式だ。この複雑ならせん形状のコイルを正確に製作することが、実用化への大きなハードルとなっていた。

今回完成した装置は、高さ6m、重さ12トンの大型マシンで、高温超伝導ケーブルをらせん状に巻き付けてコイルを製作する。Helical Fusionのアイデアを基に、スギノマシンが設計・製作を担当した世界唯一のマシンだ。

スギノマシンは1936年創業の産業機械メーカーで、原子力発電所のメンテナンス用機器を50年以上にわたって提供してきた実績がある。人が立ち入れない環境で遠隔操作する装置の開発など、高度な技術力を持つ。今回のプロジェクトでは、その経験とノウハウが活かされた。

完成したマシンは2026年半ば頃をめどに、核融合炉の実証実験を行う場所へ運び込まれ、最終実証装置「Helix HARUKA」の組み立てが始まる予定だ。Helical Fusionは2030年代中に、世界初の実用発電を達成する計画を掲げている。

核融合発電をめぐっては、日本政府も2025年11月に1000億円超の予算を計上するなど支援を強化している。世界的な電力需要の急増と脱炭素化の要請を背景に、日本の製造業の技術力を結集した実用化への取り組みが加速している。

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