DJIのドローン新製品、米国では買えなくなった――メーカー側は「違憲」と提訴

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画像出典元:Wikimedia Commons

空撮や農業散布で広く使われているDJI製ドローンの新モデルが、米国で販売できなくなっている。米国の電波行政を管轄する連邦通信委員会(FCC)が2025年12月、外国製ドローンの新規販売を事実上禁じる規制を導入したためだ。DJIはこの措置を不服として、2026年2月20日に連邦裁判所へ訴えを起こした。

FCCは2025年12月22日、外国で製造されたドローンとその主要部品を規制対象リストに追加した。米国で無線機器を販売するにはFCCの認証が必要だが、リストに載った製品は認証を受けられなくなる。DJIに限らず、中国Autelなど外国メーカー全般が対象だ。

すでに販売済みのドローンはそのまま使える。店頭に並んでいる既存モデルの販売も継続できる。制限されるのは「これから発売する新モデル」だけだ。

FCCの公式発表によると、規制の背景には安全保障上の判断がある。ホワイトハウスが招集した省庁横断の安全保障機関が「外国製ドローンは米国の安全に受け入れがたいリスクをもたらす」と結論づけた。不正な監視やデータ収集、重要インフラへの攻撃に悪用される恐れがあるとの指摘だ。2026年のFIFAワールドカップや2028年のロサンゼルス五輪といった大規模イベントを控えた対応でもある。

一方、DJIの反論はこうだ。FCCはDJI製品が具体的にどんな脅威をもたらすのか一度も示していない。DJI側は繰り返し政府との対話を求めたが、反論の機会すら与えられなかった。こうした手続きは米国憲法が保障する「適正な手続き」に反する、と主張している。

影響の範囲は広い。DJIは世界の民生ドローン市場で70%超のシェアを持ち、米国でも法執行機関や農業、映像制作の分野で幅広く使われている。現状、同じ価格帯で同等の性能を持つ代替メーカーは限られており、新モデルの供給停止は産業全体に波及する可能性がある。

なおFCCは2026年1月、米国防省が安全性を確認済みのドローンについて2027年1月までの暫定除外措置を設けた。ただし対象は政府機関や緊急対応用途が中心で、一般消費者向けドローンには適用されない。

関連情報

FCC Updates Covered List to Add Certain UAS and UAS Components(FCC公式)
FCC Covered List FAQs: UAS and UAS Critical Components(FCC公式)
FCC Updates Covered List to Exempt Certain Drones(FCC公式、2026年1月7日)

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