
中国の電気自動車(EV)メーカーBYDは2026年3月5日、深圳で開催した技術発表会で第2世代「Blade Battery」と「FLASH Charging(フラッシュ充電)」技術を発表した。充電出力は最大1500kWで、10%→70%を5分、10%→97%を9分で完了する。零下30℃の環境でも20%→97%が12分以内に収まり、同社は量産EV向けとして世界最速の充電記録だとしている。
Blade Battery 2.0の技術的な核心は「FlashPass」イオン輸送システムだ。カソードに「Flash-Release」(多段粒径構造による高密充填・高速デインタカレーション)、電解液に「Flash-Flow」(AI最適化による高イオン伝導)、アノードに「Flash-Intercalate」(360度3次元構造によるリチウムイオン挿入)という3つの革新を組み合わせ、LFP(リン酸鉄リチウム)電池の内部抵抗を大幅に低下させた。エネルギー密度は第1世代比で5%向上しており、搭載するYangwang U7(フラッグシップセダン)ではCLTC測定で1006kmの航続距離を達成した。通常の急速充電スタンドでも従来のEV電池と比べ30〜50%速く充電できるという。
充電インフラも同時に整備する。FLASH Chargingステーションは充電スタンドの充電ケーブルをT字型のレール上に浮かせた設計で、重いコネクターを地面から離して衛生面と使い勝手を改善した。2026年3月5日時点でBYDは中国全土に4239か所を設置済みで、2026年末までに2万か所に拡大する計画だ。大規模展開にあたっては既存の充電事業者のサイトに蓄電池を組み合わせた「ステーション・イン・ステーション」方式を採用し、電力系統への負荷を抑える。高速道路向けには2026年末までに2000か所を設け、100km間隔でFLASH Chargingを利用できるようにする目標も示した。海外展開の第一歩は欧州で、BYDグループのプレミアムブランド「DENZA(騰勢)」のフラッグシップシューティングブレーク「Z9GT」(122kWhバッテリー搭載、欧州WLTP航続800km、価格未発表)が2026年4月8日にパリのオペラ座で発表予定だ。
充電5分、満充電9分という数値はガソリンスタンドでの給油時間に近い。産業用ロボットや農業機械など長時間稼働が求められる業務機器のバッテリー設計にも、高速充放電に対応するLFP電池の知見が波及する可能性がある。

