太陽光で水を凍らせてエアコンを動かす——氷1kgに334Jの冷エネルギーを蓄えるDIYシステム、4時間のテストで実証

FabScene(ファブシーン)

猛暑日に電力が逼迫するのは、太陽光発電が最も得意な時間帯とエアコンの需要ピークが重なるからだ。この問題に対するシンプルな解法がある。太陽の出ている間に水を凍らせておき、必要なときに溶かして冷房に使う——つまり「氷を電池にする」発想だ。YouTubeチャンネルHyperspace Pirateがこのアイデアを実際に組み上げ、検証動画を公開した。

物理的な優位性は数字で示せる。水の相変化潜熱は1グラムあたり334ジュールで、冷房用の1kWhエネルギーを蓄えるのに必要な氷はわずか10.8kgだ。1立方メートル(1トン)の水を凍らせれば約100kWhが蓄えられる。対するリン酸鉄リチウムの蓄電池で同じ容量を用意すれば数万ドルかかり、4〜7年ごとの交換も必要だ。また氷は熱損失も少ない。室温との温度差が小さいため、同じ断熱材でも溶融塩(300℃超)の熱蓄電より数十倍長く維持できる。

制作者が組んだシステムは、冷却側と放熱側の2ループ構造だ。冷却側はR600冷媒を使う約100Wのコンプレッサー(解体した製氷機から転用)、コンデンサー、蒸発器コイルで構成され、蒸発器コイルは断熱箱の中の水に沈められている。電力は100Wパネル3枚を並列接続し、チャージコントローラーを介して35Ah鉛蓄電池に充電。Arduinoが電池電圧を監視し、設定電圧を超えたときだけリレーでインバーターとコンプレッサーをONにする制御を担う。電圧・電流・オンオフ状態はSDカードに記録した。

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冷房側は、氷の中に埋め込んだ銅コイルにポンプで不凍液(水とエチレングリコール50%混合)を循環させ、ラジエーターで室内に放熱する方式だ。ラジエーターファンのブラケットは3Dプリンターで自作した。

太陽光テストは3日間にわたって実施した。完全快晴の3日目は午前10時から午後4時まで安定稼働し、最終的に氷点下まで凍結に成功。その後トラックのキャブ(車内)に搬入してエアコン性能を計測した。外気25℃・湿度76%という条件では、最初の45分は結露(除湿)に冷熱が消費されて室温がほとんど下がらなかったが、その後は着実に低下した。2時間後には「快適」、3時間後には「寒い」と感じるレベルに達し、4時間後もラジエーターは冷気を吐き続けていた。

制作者は今回の規模を「キャンピングカーやRV向け」と位置づけており、出力がやや物足りなかったと評価している。今後は1000W以上のパネルと数百kgの氷を想定した大型版の製作を検討しているという。

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