形が変わり、学び、歩き出す素材——アムステルダム大学が「学習するメタマテリアル」を開発

FabScene(ファブシーン)

普通の素材は、一度作ったらその性質が変わることはない。ゴムはいつも弾み、鉄はいつも硬い。だが、アムステルダム大学の研究チームが開発した「学習するメタマテリアル」は違う。ある形に変形するよう「教え込む」と、そのやり方を覚え、次から自分でその変形を再現する。そして別の形を覚えさせれば、古い記憶を消して新しいものに切り替えることもできる。研究成果はNature Physicsに掲載された。

このメタマテリアルは、ヒンジでつながれた多数の小さなブロックで構成される。それぞれのヒンジには「硬さ」を調整できる自由度があり、これが学習の鍵だ。目標の形変形を示すと、システムが各ヒンジの硬さを少しずつ更新していく。この仕組みは「対照学習」と呼ばれる機械学習のアイデアを物理的な材料に適用したもので、特定のコンピュータや制御装置は必要ない。素材そのものが学習の場となっている。

研究チームの作ったメタマテリアルは、ミミズのような形をした物体として実際に動く。覚えた変形パターンを使って、這うような移動も確認されている。さらに「反射行動」も実現しており、素材の一部が刺激を受けると、あらかじめ学習したパターンに従って素材全体が特定の動作をとることができる。

従来の「形状記憶素材」は1〜2種類の形しか覚えられなかったが、このメタマテリアルは複数の形を同時に記憶しながら、その間を切り替えることもできる。研究チームは今後、静止した形への変形だけでなく、這う・転がるなどの「動き方」そのものを学習させることを目指すという。

素材と機械の境界を溶かすようなこの研究は、ソフトロボティクスや義肢、建築構造物への応用可能性を持つ。

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