
個人ユーザーが3Dプリンターを活用してネットワークラックを自作し、複数のシングルボードコンピューターを組み合わせたホームサーバーシステムを構築した事例が公開された。
このプロジェクトでは、ハードウェア以外のすべての部品を3Dプリントで製作。2台のRaspberry Pi 5と2台のシングルボードコンピューター「Orange Pi 3 Zero」を搭載し、広告ブロッカーとNAS(ネットワーク接続ストレージ)を運用している。設計者のSilvestreDesignLabは、10インチネットワークラック「LabRax」に対応した各種3Dプリントファイルを、3DモデルプラットフォームMakerWorldで公開している。
システム構成と消費電力
システムの構成は、1台目のRaspberry Pi 5でPi-holeプライマリサーバーを運用し、2台のOrange Pi 3 ZeroでPi-holeセカンダリサーバーを構築。冗長性を確保することで、片方のサーバーがダウンしてもDNS解決が継続できる設計となっている。
2台目のRaspberry Pi 5にはRadxa Penta SATA HATを装着し、4台の3.5インチWD Redハードドライブで合計16TBのNASを構築。これらに加えて、PoE対応8ポートネットワークスイッチ、12V 80×20mmファン1基(排気用)、5V 80×20mmファン2基(底面吸気用)、5V 40×20mmファン5基(前面吸気用、照明と美観を兼ねる)を搭載している。
システム全体の消費電力は、NASがアイドル状態で53Wと報告されている。この数値にはルーター、Raspberry Pi 5、2台のOrange Pi 3 Zero、PoE対応8ポートネットワークスイッチ、すべての冷却ファンが含まれており、ホームサーバーとしては省電力な構成となっている。
製作者のSilvestreDesignLabは、10インチラック規格に対応した3Dプリントファイルを公開している。MakerWorldのコレクションには、ケーブルマネジメント用の1Uパネル、Netgear GS108PEv3スイッチ用マウント、Raspberry Pi 5とOrange Pi 3 Zero用の1Uマウント、80mmファン用吸気口、3U NASエンクロージャーなどのファイルが含まれている。これらのファイルを活用することで、他のユーザーも同様の10インチラックシステムを構築可能となっている。