
メイカーのBrian Brocken氏が、26年前の産業用ロボットABB IRB6400を3Dプリンターに改造するプロジェクトを公開した。2トンの巨大ロボットにエクストルーダーを搭載し、Arduino Mega 2560で制御。祖父が3年かけて大理石から手彫りした彫刻を3Dスキャンして再現した。
ABB IRB6400は最大150kgを移動できる産業用ロボットで、部分的に油圧駆動を採用している。工場で小型エンジンを自動車に組み付けるような重作業を想定した機材だ。Brocken氏はこのロボットをCNCマシンとして使用してきたが、以前から3Dプリンターとして試したいと考えていた。
エクストルーダーにはCreality Sprite Pro直接駆動式を採用し、1mmノズルを使用。重量228gと軽量で、巨大なロボットアームへの負荷を最小限に抑えている。制御にはArduino Mega 2560とRAMPS 1.4ボードの組み合わせを採用した。DIY 3Dプリンター製作で定番の構成だ。
最大の技術的課題は、ロボットの動きとエクストルーダーの同期だった。ロボットは特殊なABB RAPID言語で動作し、フロッピーディスクからプログラムを読み込む設計になっている。Brocken氏はG-codeをABB RAPID codeに変換し、S4Cコントローラーにシリアル接続でライン単位で送信するプログラムを自作した。

ArduinoとRAMPSボードはエクストルーダーのみを制御し、ロボット本体とは直接インターフェースしない。G-codeとABB RAPID codeを同時にドリップフィード方式で送信し、タイミングを同期させる必要があった。それぞれが独自のモーションプランナーを持つため、速度と加速度のマッチングにも特別な配慮が必要だった。
エクストルーダーへはXYZ座標値も送信する必要があった。エクストルーダー送り量だけでなく座標情報も渡すことで、モーションプランナーが正しい送り速度を計算できるようにした。速度、送り、加速度を調整した結果、まずまずの結果が得られた。
プロジェクトではRevopoint Metro Y Pro 3Dスキャナーを使用した。ターンテーブル機能により、小型オブジェクトの完全自動3Dスキャンが可能だ。複数の角度からスキャンしたデータを統合して完全なモデルを作成する。
最初のテストにはWall-Eのベンチマークモデルを使用し、良好な結果を得た。次により大きく詳細なモデルとして、Brocken氏の祖父が制作したピエタ像をスキャンした。祖父は3トンの大理石から3年近くかけて手彫りでこの彫刻を完成させた。

スキャナーの平行線オプションを使用して、彫刻の最小限の細部まで捉えた。複数のスキャンをRevo Metroソフトウェア内で統合し、スキャナーで届かなかった部分はMeshMixerで修復した。
商用3Dプリンターと比較すると改善の余地があるが、26年前のロボットとしては良好なスタートだとBrocken氏は評価している。現在の主な課題は、スライサーソフトウェアが生成する密集した座標点の処理だ。ロボットがこの大量の近接座標を処理するのに苦労している。モデルを事前に簡略化することで部分的に解決できるが、花瓶のようなシンプルなモデルでは全く問題ない。
Brocken氏は「さらに調整を重ねることで、将来的に印刷品質を大幅に改善できると確信している」と述べている。プロジェクトの詳細情報はYouTubeの説明欄とArduino Project Hubで公開されている。

