
糸を使って肖像画などを描くストリングアートを自動制作するマシンが、Arduino Unoを使って開発された。個人開発者のQuiet_Compote_6803氏がRedditのArduinoコミュニティで公開した作品で、設計図からアルゴリズムまで完全にオープンソース化されている。
このマシンは約1年をかけて開発された。開発者によると、世界で最も低コストかつ最速でストリングアートを制作するマシンを想像して設計したという。写真から機械命令への変換アルゴリズムも独自に開発し、画像の明暗や詳細に応じて糸を巻き付ける位置を計算する。
ピンヘッダーで精密配置を実現
製作において特徴的なのは、一般的なピンや釘の代わりに電子部品のピンヘッダーを使用している点だ。開発者は、一定間隔での配置が容易になり、設置作業も簡単になったと説明している。回転テーブルは下部のステッパーモーターでギア駆動され、黄色い車輪は糸を押さえる役割を果たしている。
マシンの開発背景には個人的な事情があった。開発者によると、2年前に妻ががんと診断され、治療のため仕事を辞めて付き添いを続けた。妻の治療の待ち時間中、ノートパソコンでコーディングに取り組んだことが開発のきっかけだった。コーディング中は悲しく辛い思いが完全に消えたと振り返っている。現在、妻の体調は医師から褒められるほど改善し、仕事にも復帰しているという。
開発者は詳細な制作過程をYouTubeで公開し、機械や作品の販売も可能としている。現在は6サイズのストリングアート作品を1台で制作できるマシンの開発も進めている。