
本物の本のように見開きで読める電子書籍リーダーを個人が自作し、製品化を求める声が寄せられている。制作者のspacerower氏が2025年8月5日、Reddit上で「ESP32S3ベースのデュアルスクリーン電子書籍リーダーを作った」と投稿したところ、3日間で3700以上の評価を獲得し、多くのユーザーから製品化を求めるコメントが投稿された。
制作のきっかけは、愛用していた電子書籍リーダーの画面が割れてしまったことだった。spacerower氏は代替品を探すためオープンソースの電子書籍リーダープロジェクトを調査したが、欲しい機能がすべて揃った製品が見つからず、自分で作ることを決意した。
完成した電子書籍リーダーは、折りたたみ式の2画面構造が最大の特徴だ。閉じると手のひらサイズのコンパクトな端末になり、開くと本物の本のように左右のページを同時に表示できる。本体の厚さは閉じた状態で16mmと薄型で、保護ケースなしでも持ち運べる設計になっている。
電源には容量1300mAhのバッテリーを2個搭載し、読書中は省電力モードで動作する。10分間操作しないと自動的に超省電力のディープスリープモードに入り、バッテリー消費を大幅に削減する。この機能により、電源を完全に切る必要がなく、ボタンを押すだけで瞬時に読書を再開できる。

技術的な基盤には、WiFi機能を内蔵したESP32S3マイコンボードを採用した。充電とプログラム書き込みには汎用性の高いUSB-Cコネクターを使用し、ページめくりやメニュー操作用の物理ボタンも搭載している。電子書籍ファイルの保存には内蔵SDカードを利用する。
ソフトウェア面では、EPUB形式の電子書籍ファイルに対応し、基本的なHTMLとCSSスタイルシートをサポートしている。文字表示には多言語対応のUnifontを使用し、太字、斜体、大文字などの装飾も可能だ。
制作者によると、ソフトウェアはまだ開発途中で、ファイル展開と読み込み機能にはGitHubで公開されているatomic14氏のプロジェクトをベースとしている。ユーザーインターフェース、EPUB解析、文字表示機能は独自に開発したという。
投稿には多くのユーザーから「製品として販売してほしい」「資金を出すので製品化を」といったコメントが寄せられており、制作者も「クラウドファンディングサイトのCrowdSupplyでのキャンペーン実施を検討している」と回答している。
電子書籍リーダー市場ではAmazonのKindleや楽天のKoboなどの製品が主流だが、多くは単一画面の構成となっている。見開き表示が可能な製品は限られている。