自宅上空の最寄り航空機をリアルタイム表示するESP32デバイス、ADS-Bデータを活用

FabScene(ファブシーン)| テクノロジーの「現場」を記録するメディア

米国のMakerであるfil1983氏が、自宅の最寄り航空機情報をリアルタイムで表示するユニークなデバイスを製作した。ESP32マイコンボードとOLEDディスプレイを組み合わせ、30秒ごとに航空機の種類や距離、搭乗者数、高度などを更新表示する。

机上に設置する卓上型の航空機追跡デバイス

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このデバイスは黒い筐体に5.5インチの緑色OLEDディスプレイを搭載し、現在位置から最も近い航空機の情報を表示する。ディスプレイには機体名、距離(キロメートル表示)、搭乗者数、高度(フィート表示)が表示される。デバイス上部には「PVT」(プライベート機)、「COM」(商用機)、「MIL」(軍用機)の3つのバックライト付きパネルがあり、検出された航空機の種類に応じて該当パネルが点灯する仕組みになっている。

航空機の種類判別は、ADS-Bデータに含まれるコールサインを基に行われる。商用航空機は「AA2122」のような航空会社コードを、プライベート機は「N2161G」のようなN番号を使用する特徴を利用している。

製作者のfil1983氏によると、各航空機タイプの表示切り替えには機械式リレーを使用しており、切り替え時にカチカチという音が発生する。軍用機の表示はほとんど点灯しないが、点灯した際の楽しみとして残しているという。

搭乗者数として表示される数値は、実際のリアルタイム乗客数ではなく、その機体タイプの標準的な座席数を表示している。これは「souls on board」(搭乗者数)という航空用語への内輪のジョークとして実装されたものだという。

使用されているハードウェアは、ESP32開発ボード、NewHaven Display製5.5インチ緑色グラフィックOLEDモジュール、4リレーモジュール、3Dプリント筐体、CNカット・彫刻を施したアクリル製フェイスプレート、LEDテープなど。特にOLEDディスプレイは約70ドル(約1万円)と高価だが、製作者は遠くからでも読みやすい視認性を重視して選択したとしている。

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データソースには当初ADS-B Exchangeを使用していたが、現在は無料API「adsb.lol」を利用している。将来的には自身のADS-B受信機からデータを取得し、外部APIに依存しない仕組みへの移行を検討している。

筐体は3Dプリンタで3時間かけて造形し、フェイスプレートは3mmキャストアクリル板を黒く塗装後、CNCで切断・彫刻して製作した。壁面取り付け用には、磁石を埋め込んだ分割式マウントを設計し、電源ケーブルの取り回しと取り外しの利便性を両立させている。

製作者は、このプロジェクトのソースコードやCADデータを今後GitHubで公開予定としており、同様のデバイスを製作したい人向けにキット販売の可能性も検討している。

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