
ESP32-C6を使ったZigbee対応の16キーマクロパッドを、Maker「StaRky_FR」氏が設計しGitHubで公開した。Home Assistantと連携し、各ボタンにシングルクリック、ダブルクリック、長押しの3種類のアクションを割り当てられる。バッテリー駆動で配線が不要なため、部屋のどこにでも設置できる。
スマートホームのリモコンには悩ましい問題がある。Wi-Fi対応デバイスは消費電力が大きくバッテリー駆動に向かず、Bluetooth対応デバイスは接続の安定性に難がある。Zigbeeは低消費電力でメッシュネットワークを構成できるが、対応するDIYデバイスの選択肢が限られていた。
StaRky_FR氏が製作したマクロパッドは、Zigbee通信に対応したESP32-C6を採用することでこの問題に取り組んでいる。16個のCherry MXスイッチをマトリクス配線で接続し、ESP-IDFのZigbee SDKでファームウェアを開発した。
ディープスリープで長時間駆動
バッテリー駆動を実現するため、20秒間操作がないとディープスリープモードに移行する設計を採用した。ESP32-C6のディープスリープ時の消費電流は約15µAとされており、1000mAhのバッテリーで1日20回程度の使用を想定すると、8〜12か月の駆動が見込めるという。
ただし、ディープスリープからの復帰にはRTC(リアルタイムクロック)ピンを使う必要があり、ESP32-C6のRTCピンは5本しかない。16個のボタンすべてからの復帰を可能にするため、マトリクス配線とダイオードを組み合わせた回路を設計している。
Version 1では「NanoESP32C6-N8」を使用したが、ドキュメントの不足やESP-IDFとの互換性の問題に直面したという。現在開発中のVersion 2では、Seeed Studio製の「XIAO ESP32-C6」に変更し、USB-C経由でのバッテリー充電にも対応する予定だ。

Home Assistantとの連携
Zigbee2MQTT経由でHome Assistantに接続する。標準ではデバイスとして認識されないため、外部コンバーターファイルを追加する必要がある。ボタンを押すとLEDが点滅してフィードバックを返し、LEDの明るさはZigbeeの輝度属性で調整できる。
ケースは3Dプリントで製作し、蓋と本体はネオジム磁石で固定する。部品代は約27ユーロ(約4300円)。ファームウェア、回路図、3Dモデルのデータはすべて公開されている。

