
セキュリティ診断の現場で使えるポータブル端末が欲しい——MadMax5151氏がThingiverseで公開した「Field Terminal V2」は、Raspberry Pi 3B+をベースにした堅牢なサイバーデッキだ。1万4000mAhのバッテリーを搭載し、12時間以上の連続稼働が可能。3Dプリント用のSTLファイルと部品リストが公開されている。
サイバーデッキとは、SF作品に登場するような携帯型コンピューター端末を自作する文化から生まれた呼称だ。ノートPCとは異なり、用途に特化した設計と独自の外観が特徴となる。Field Terminal V2はKali Linuxを搭載したペネトレーションテスト(脆弱性診断)向けの端末として設計されている。
コンピューター部分にはRaspberry Pi 3B+を採用した。ただし、そのままでは筐体に収まらないため、USBポートを取り外し、SSDコントローラーを基板裏面のテストパッドに直接はんだ付けしている。ストレージにはmSATAまたはM.2 SSDを使用する。
ディスプレイはWaveshare製の4.3インチDSI液晶(800×480ピクセル)、キーボードはRii mini X1(Bluetooth/2.4GHz対応)を組み合わせた。Wi-FiアダプターにはRealtek RTL8812AUチップ搭載のUSBドングルを使い、SMAピグテールケーブルで5dBiの外部アンテナに接続する。
電源システムには18650セルを4本並列(1S4P構成)で搭載した。Samsung 35Eなど高容量セルを使えば1万4000mAhとなり、12時間以上の連続駆動が可能だ。充電と昇圧にはIP5310またはIP5219チップ搭載のモジュールを使用する。
Raspberry Piは起動時に大きな突入電流が流れるため、電源モジュールの短絡保護が誤作動することがある。この対策として、+5Vラインにサーミスタ(NTC 5D-9)を直列に挿入し、突入電流を抑制している。
冷却には30×30mmの5Vファンを搭載した。筐体は3Dプリント製で、M2.5およびM3の真鍮ヒートインサートとネジで組み立てる。ケーブルの固定には自動車用ハーネステープ(Tesa製ファブリックテープ)を使用し、振動によるガタつきを防いでいる。
STLファイルはCreative Commons BY-NC(表示-非営利)ライセンスで公開されている。

