ゲームボーイで結婚式用フォトブースを自作、カメラとプリンターをラズパイと融合させたユニークなDIY作品

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ドイツのMaker「Staacks」氏が、任天堂が1998年に発売したゲームボーイ用カメラ「ポケットカメラ」とゲームボーイ用プリンター「ポケットプリンタ」を活用した結婚式用フォトブースシステムを製作し、技術解説ブログとYouTubeで詳細を公開した。このプロジェクトは、1990年代のレトロゲーム機器と現代のマイクロコンピュータ技術を組み合わせ、ユニークな写真撮影体験を実現している。

このフォトブースシステムは、ゲストがボタンを押すと5秒間のビデオクリップを現代のミラーレスカメラとゲームボーイカメラで同時録画し、さらにゲームボーイカメラで撮影した3枚の静止画をゲームボーイプリンターで印刷してお土産として提供する仕組みとなっている。Staacks氏はこれまでに5台の結婚式用ビデオブースを製作しており、今回は従兄弟の結婚式のためにレトロゲーム要素を取り入れた新たな挑戦を行った。

Raspberry Pi 4とマイクロコントローラーで複雑なシステムを統合

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フォトブース制作で採用された任天堂の製品軍

システムの中核となるのはRaspberry Pi 4で、Pythonスクリプトによってすべてのコンポーネントを制御している。ユーザーインターフェースはFlaskベースのWebインターフェースとして実装され、Chromiumブラウザで表示することで、HTML5とJavaScriptによる精密な動画再生制御を実現している。

操作用の大型プッシュボタンには、内蔵されたRaspberry Pi Pico WがBluetooth Low Energy経由でキーボード信号を送信する仕組みを採用。単3電池2本で動作し、ワイヤレスでの操作を可能にしている。

メインカメラにはSony a6400を使用しているが、同機種ではUSB経由での動画ダウンロードに制限があるため、Bluetooth Low Energyでのカメラ制御と東芝のWi-Fi対応SDカード「FlashAir」での動画取得という独特な組み合わせを採用している。

自作GB Interceptorでゲームボーイカメラの映像をキャプチャ

ゲームボーイカメラからの映像取得には、Staacks氏が以前開発した「GB Interceptor」を活用している。これはゲームボーイとカートリッジの間に接続するアダプターで、RP2040マイクロコントローラーがゲームボーイとカートリッジ間の通信を傍受してディスプレイ内容を再構築する仕組みだ。

このデバイスは標準的なUSBウェブカメラとして動作し、MJPEG エンコーディングに対応することで、Linux、Windows、macOS、さらにはAndroidタブレットやiPadでも利用できる汎用性を実現している。

ゲームボーイプリンターとの通信には、Arduino Pro Microを使用したカスタム制御基板を製作。ゲームボーイプリンターが5Vロジックレベルで動作するため、3.3VのRaspberry Pi Picoではなく5V対応のPro Microを選択している。通信はゲームボーイリンクケーブル経由のSPIインターフェースで行い、オリジナルの4倍速である32kbit/sでの高速データ転送を実現している。

プリンター用紙には高価な純正品を使用する必要はなく、幅38mmの一般的なサーマルペーパーで代用可能だという。システムは一度稼働すれば、プリンター用紙の補充以外はほぼメンテナンスフリーで動作したとのことだ。

Staacks氏は今回のプロジェクトに関するソースコードをすべてGitHubで公開しており、Arduino用のプリンター制御コードやPython製のゲームボーイプリンターモジュールを単体で再利用することも可能となっている。

※記事初出時点で誤記がありました。訂正してお詫び申し上げます(2025年7月31日11時30分)

関連情報

Staacks氏のブログ

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