工作系YouTuber、体重移動で制御する2輪スケートボードを製作

FabScene(ファブシーン)

工作系YouTuberのIvan Miranda氏が、ワンホイール電動スケートボードの欠点を解消すべく、2輪の自己バランス式スケートボードを製作。YouTubeに投稿した動画は公開から1ヶ月で30万回以上再生されている。スケートボードは3Dプリント部品とアルミフレームを組み合わせた独自設計で、体を傾けて加減速を制御する仕組みを採用している。

Miranda氏は、ワンホイールスケートボードの「ノーズダイブ」問題を指摘する。具体的にはボードを傾けて加速する仕組みのため、一定角度を超えるとモーターが追いつかず、ボードが地面に接触して転倒する危険があるという。この問題を解決するため、2輪構成としながらもワンホイールと同様の体重移動制御を実現することを目指した。

7日間で製作、イベントで初テスト

製作期間はサンフランシスコで開催されるイベントの直前わずか7日間。フレームには30×30mmのアルミ押出材を使用し、素早く組み立てられる構造とした。ライダーが立つプラットフォームはフレーム上のローラーに乗り、シーソーのように傾く仕組み。この傾きをマイコンと加速度センサーで検出し、モーター制御装置に指令を送る。

駆動系はブラシレスモーター1基で、歯付きベルトを介して片輪を駆動。電源には18Vの電動工具用バッテリー3個を直列接続し、60V以上の電圧を供給した。ホイールやブラケットなどの部品は3Dプリンターで製作。フレームを分解して2つのスーツケースに収め、イベント会場に持ち込んだ。

イベント会場では他の製作者の協力を得て調整作業を実施。ワンホイールの熟練ライダーである友人もテストに参加した。しかし初期テストでは制御が不安定で、ネジの破損やフレームの緩みなどのトラブルが続出した。

バッテリー問題を解決し、ようやく走行可能に

帰国後、Miranda氏は動作不良の原因を特定した。使用していた電動工具用バッテリーには過電流を防ぐ保護回路が内蔵されており、電流が一定値を超えると瞬間的にカットする仕組みだった。この動作がモーター制御装置の制御を妨げていたという。

対策として、バッテリーの接続を直列から並列に変更。電圧は下がるが電流制限が3倍になり、安定動作が可能になった。また、バランス制御をマイコンからモーター制御装置に内蔵された専用ソフトウェアに移行。姿勢センサーを直接ボードに取り付け、制御系を簡素化した。

FabScene(ファブシーン)
調整後の走行シーン / 出典: YouTube動画

数時間の調整とテスト走行の結果、ゆっくりとした速度であれば走行可能な状態に到達した。Miranda氏は「コンセプトの証明としては成功」としながらも、「ワンホイールより安全とは言えない。まだ改善すべき点が多い」と総括。友人からのフィードバックを元に、今後も開発を続ける意向を示している。


関連情報

I Invented A New Type of Skateboard – YouTube

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