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海をまたいで時刻合わせーーラズパイPico Wで電波時計用の電波を自作

電波時計は、時刻を知らせる電波を受けて自分で時刻を合わせる。日本で使われている信号はJJYと呼ばれ、米国までは届かない。日本向けの電波時計を持ち込んでも、自動修正は働かない。GospelPublisher氏は、その電波を自分で作ることにした。Raspberry Pi Pico Wで組んだ送信機を寝室の引き出しに置き、インターネットから取った正確な時刻を毎晩2時と4時に流す。枕元に置いたシチズン「PMD56-2952」は、6カ月以上にわたって100%の確率で時刻を合わせているという。

自作の送信機は以前からあるが、シチズンの時計では動かない例が多い。同氏が突き止めた原因は、信号を止める側にあった。多くの実装は、無信号の区間でも搬送波を5〜10%ほど残す。時計側の自動利得制御を保つためだ。ところがこの時計に載るH100ムーブメントは逆で、わずかでも搬送波が残っているとフレームを全部拒否してしまう。出力を完全にゼロへ落として、ようやく受け付けた。

周波数の作り方にも落とし穴がある。JJYが使うのは60kHzという低い電波だが、Pico Wの既定のシステムクロックは125MHzで、この値からは60kHzを割り切れない。同氏はクロックを120MHzへ下げ、2000で割ってちょうど60kHzを得た。周波数を振ると59.9kHzと60.1kHzは受け付けず、通ったのは60kHzだけだった。JJYの規格が定める36番目と37番目のパリティビットも時計側が検査するため、省いた実装は通らない。フレームの先頭は毎分00秒ちょうどに合わせる必要がある。

回路は簡素で、GP4から1kΩの抵抗を通してNPNトランジスタPN2222のベースへ入れ、コレクタ側のコイルを5Vへ回す。コイルは飲料のボトルに銅線を約106回、1層で巻いたもので、中心に鉄芯を通してある。空芯より明確に強まり、木製の天板越しでも届く。置き方も効く。9時側をコイルへ向けて横に寝かせると最も強く、90度回すとほとんど受信しない。なお時計内部のタイムゾーン補正はゼロに戻す。送るのは日本時間ではなく現地時間だからだ。

日本で同じ装置を動かす場合は電波法の規制対象になる。免許を受けずに電波を出せるのは、電波法施行規則が定める「著しく微弱な電波」の範囲に限られ、周波数帯ごとに電界強度の上限が決まっている。今回は米国での事例であり、そのまま国内で再現できる保証はない。試すなら総務省が公開する微弱無線局の基準を確認するか、専門家に相談してほしい。コードと配線図、コイルの作り方はGitHubで公開されている。

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FabScene編集部

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