中国のeSUNが、コーヒーかすを配合したPLAフィラメント「PLA-Coffee」を発売した。自社サイトでの告知は2026年7月14日で、正規代理店とオンラインを通じて世界に向けて販売する。中国でKFCやピザハットを展開する外食大手のYum Chinaと共同開発した材料で、店舗から出るコーヒーかすを脱水し、粉砕して改質したうえで植物由来のPLAに混ぜ込む。仕上がりは細かな粒子感のあるマットで、積層の線が目立ちにくい。これまで捨てられていた材料が、造形物として使われる形で市場へ戻ってくる。
線が消えて見えるのは、表面での光の反射が変わるためだ。コーヒーの微粒子が全体に入ることで、樹脂特有のてかりが消え、当たった光が拡散する。よく反射する面は積層の跡を強調し、見る人の視線をそこへ引き寄せてしまう。eSUNは、拡散する面ではその効果が弱まり、形や比率、曲面といった造形そのものに目が向くと説明する。色は染料を使わずに土や木を思わせる茶系が出る。同社は植木鉢や卓上の小物、コーヒー器具の自作といった用途を挙げている。
材料としての難所は、コーヒーかすの性質にあった。水分と油分が多いうえ、PLAとなじみにくい。同社の開発チームはそれぞれに対応する処理を施し、コーヒーの微粒子を樹脂の中へ均一に散らして密着させた。木粉を混ぜた「PLA-Wood」で積み上げた量産の経験が土台になっている。eSUNは、コーヒー本来の色と質感を残しながら、造形精度と押し出しの安定性、機械的特性の面で業界の水準を満たすとしている。ただし配合率や引張強度といった具体的な数値は公表していない。
一般への公開は、2026年6月24日に閉幕した北京の中国国際サプライチェーン博覧会だった。Yum Chinaのブースに設けた持続可能性の展示区画で披露している。役割分担は明確で、Yum Chinaが店舗網から実際に出る廃棄物と回収の仕組みを用意し、eSUNが材料側の改質技術を担った。同社はコーヒーかすの再利用について、雑貨や消費財の設計だけでなく、教育用の教材にも広がると見込む。コーヒーかすの再利用は中国中央テレビのニュースでも取り上げられた。日本国内での取り扱いと価格は公表されていない。