
エンジニアのSKKAW氏が、Raspberry Piを使った自作デジタルカメラ「KAMPi」を製作し、ブログで公開した。部品選定からはんだ付け、3Dプリント、ソフトウェア開発まですべて自身で手がけ、フィルムカメラのような操作感で4K撮影が可能なカメラを作り上げた。
オートフォーカスをあえて省いたこだわり設計
「KAMPi」という名前は、日本語の「カンパイ」から派生したフィリピンのタガログ語スラング「Kampay」の略称。同時に「CAMPi(Pi Cam)」とも読めるように名付けられた。
カメラの心臓部には「Raspberry Pi Compute Module 5」を採用し、「Waveshare Nano A」ボードに搭載。撮像素子とレンズは「Raspberry Pi High Quality Camera」と16mm望遠レンズを使用している。ディスプレイには4インチの高解像度ディスプレイ「Pimoroni HyperPixel 4.0」を組み合わせた。
最大の特徴は、あえてオートフォーカス機能を搭載していない点。SKKAW氏は「まさに自分が望んでいた仕様」と述べており、撮影前にディスプレイでプレビューを確認しながら手動でピントを合わせる仕組みを採用。この設計により、フィルムカメラのような撮影体験を実現している。
電源系には「Pimoroni LiPo SHIM」を使用し、電源スイッチとUSB-Cプラグを配線。トリガー機構には小型の「Adafruit KB 2040」電子ボードを採用し、USB-Cシリアル通信で制御している。当初はI2C通信での実装も検討したが、HyperPixel 4.0がすべてのGPIOピンを使用しているため、USBシリアル通信を選択したという。
シャッターボタンにはAdafruit製の光るプッシュボタンスイッチを使用。すべての部品を自身ではんだ付けし、コンパクトなパッケージに収めている。筐体は3Dプリンターで製作。カメラケーブルが上部から突き出る構造のため、当初の想定より大きくなったが、すべてを収納できるキャップ部分を設計。メンテナンスしやすいようヒンジとラッチロックも追加した。

実際の撮影テストとソフトウェア
ソフトウェアはシンプルさを重視し、Pythonスクリプトで撮影を制御。デスクトップには撮影用スクリプトと保存フォルダが表示され、KB 2040のCircuitPythonマウントディスクも確認できる。背景にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の銀河画像を設定し、美しいPimoroniディスプレイの性能を活かしている。
SKKAW氏は「多くの写真がぼやけて撮れたが、まさに期待していた結果。フィルムカメラのように瞬間を捉える感覚を再現できた」と評価。練習を重ねることでより上手く撮影できるようになると期待を込めている。撮影された作例は氏のブログに掲載されいる。
SKKAW氏は「従来のデジタルカメラとは異なる、伝統的な撮影感覚を持つカメラを作りたかった」と開発の動機を説明。今後も改良を重ね、より多くの撮影機会でKAMPiを使用していく予定だという。
関連情報
Welcome to KAMPi! My Self-Built Digital Camera – SKKAW.BLOG
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