Categories: 工作・開発

ディズニーのスターウォーズロボットをDIYで再現、強化学習で歩き方を自ら習得

Kayden Knapik氏が、ディズニーリサーチのスターウォーズロボット「BDXドロイド」のDIY版を2年かけて製作した。強化学習を使ってロボット自身が歩き方を学習しており、コードを書いて動作をプログラムしたわけではない。プロジェクトはオープンソースとして公開されており、今年の新作映画「マンダロリアンとグローグー」にも登場するキャラクターの個人製作版として注目を集めている。

ハードウェアの核心はアクチュエーターの選定だ。BDXドロイドは脚に計10自由度(1脚5DoF×2)、首に1軸、頭に3軸、耳に各1軸の計16アクチュエーターを持つ。Disneyは産業用のUnitree製・Dynamixel製アクチュエーターを採用しており、同等品を揃えると16本だけで約118万円($7,500)を超える。Knapik氏はRobstride製のQDD(クワジダイレクトドライブ)モーターを採用することでコストを約44万円($2,800)に抑えた。制御コンピューターはディズニーと同じJetson Orin Nanoを選び、電源は40Vのリチウムイオン芝刈り機バッテリーで賄っている。

ボディはPETGでの3Dプリントで始めたが、60N・mという強力なモーターが最大の負荷がかかるヒップロール関節を何度も破壊した。最終的にJLCPCBのCNCアルミ加工部品でヒップ接続部と頭部ベースプレートを換装し、構造的な問題が解消した。

歩行の習得には逆運動学の手動実装ではなく強化学習を使った。ロボットのCADモデルからURDFファイルを作成してデジタルツインを構築し、NVIDIA Isaac LabとMuJoCoを組み合わせた「MJ Lab」フレームワーク上でシミュレーション訓練を行う。何千体ものロボットを同時に動かし、転倒すれば罰、バランスを保って前進すれば報酬を与え続ける。ポリシー(行動方針)は50Hzで動作し、IMUからの重力方向・角速度、関節の位置・速度、速度指令などを入力として次のモーター指令を出力する。ゆっくりな歩行から徐々に速度要件を上げるカリキュラムも設定し、数時間の学習で歩行に必要な行動を獲得した。

シミュレーションで完成した歩行ポリシーを実機に転送するsim-to-realの工程では、質量のランダム化・センサーノイズ付加・床面摩擦の変動・モーター遅延など「ドメインランダム化」を施した環境で再訓練した。さらにチャープ信号を実機とシミュレーターの両方に与えてモーター特性を一致させ、精度の高い再訓練を経て前後進・旋回が揃った安定した歩行を得た。

このプロセスは学士課程の卒業論文としてもまとめられ、10点満点中9点の評価を得た。コード・CAD・組み立てメモはGitHub「BDX-R」で公開されている。フルサイズ版はアクチュエーター代だけで約44万円かかるが、6万円台($400)の小型版も設計中だ。

関連情報

FabScene編集部

FabScene編集部