1分間に10ピクセルしか更新されない木製ディスプレイを個人が開発、世界中からの投稿画像を描画

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開発者のBen Holmenが、6年間の開発期間を経て1000ピクセルの木製ディスプレイ「Kilopixel」を完成させ、世界中からの画像投稿を受け付ける専用Webサイト「kilopx.com」を公開した。2025年8月2日に同氏のブログで発表された。

Kilopixelは40×25のピクセル配列で構成され、各ピクセルは木製の立方体を使用している。通常のディスプレイが1秒間に60回画面を更新するのに対し、この木製ディスプレイは1分間に10ピクセルの変更という極めて低速な更新速度で動作する。

CNC機構による物理的なピクセル制御

ディスプレイの動作には、壁面に設置されたXYプロッター式のCNC機構を使用している。この機構は木製ピクセルを物理的に回転させることで白と黒の表示を切り替える。各ピクセルには90度間隔で回転位置を固定するノッチが設けられており、グルースティックを使用したポーキング機構により正確な回転制御を実現している。

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ピクセルを回転させるポーキング機構の動作画像出典元Ben Holmen

制御システムはRaspberry PiとCNCコントローラで構成され、Python言語で記述されたプログラムがAPIからの指示を受けて各ピクセルの位置と状態を管理している。また、光センサーによってピクセルの現在の状態(白または黒)を検出する機能も搭載している。

描画の様子は生配信

専用サイト「kilopx.com」では、ユーザーが40×25ピクセルの画像を投稿し、他のユーザーの投票によって人気の高い作品から順次ディスプレイに描画される仕組みを採用している。また、リアルタイム共同編集モードや時計表示などの自動描画モードも用意されている。

システムはLaravel、InertiaJS、VueJSで構築され、DigitalOceanのVPS上で稼働している。YouTubeでのライブストリーミング機能も提供しており、物理ディスプレイの描画過程をリアルタイムで視聴できる。

Holmen氏は開発過程で、卓球ボール、発泡スチロールボール、バウンシーボールなど様々な材料を検討した結果、最終的に自作の木製立方体ピクセルを採用したと説明している。1000個のピクセルの製作と組み立てには膨大な時間を要したが、最も安定した動作を実現できたとしている。

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