30年前のIntel 486マザーボードを個人が半年かけて完全自作、FPGAでチップセット実装

FabScene(ファブシーン)

プログラミングとエレクトロニクス愛好家のManiek86氏が、Intel 486プロセッサ用のマザーボードを6ヶ月足らずでゼロから設計・製作した。「M8SBC-486」と名付けられたこのプロジェクトは完全なオープンソースで、回路図からPCB設計、FPGAコードまでGitHubで公開されている。

当初の目標はLinuxとDoomを動作させることだった。しかし完成した基板は期待を超え、MS-DOS各種、Windows 3.1、Prince of Persia、Wolfenstein 3Dなどのゲームも動作する。Maniek86氏は2025年8月にプロジェクトを開始し、2026年1月に完成を報告した。

M8SBC-486の最大の特徴は、Xilinx Spartan II XC2S100 FPGAをチップセットとして使用している点だ。1990年代の486マザーボードでは専用チップセットが必要だったが、Maniek86氏はFPGAにバス制御、アドレスデコード、SRAM制御、ISAバス制御、PS/2キーボードコントローラーなどを実装した。

FPGAの設定ファイル読み込みにはATMega128マイクロコントローラーを使用している。ATMega128は128KBのフラッシュメモリを持ち、96KBのFPGAビットストリームを保存できる。Maniek86氏はハードウェアSPIを使ってビットストリームの転送を高速化し、FPGA初期化時間を約1秒から100ミリ秒未満に短縮した。

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マザーボードのスペックは以下の通り。150mm×150mmの4層PCBに、PGA-168ソケット(5V版486 CPU用)、24MHz FSB動作(DX2 CPUで48MHz)、4MBのSRAM(HM628512チップ8個)、256KBのROM(BIOS用)、8254プログラマブルインターバルタイマー、8259割り込みコントローラー、2つの16ビットISAスロット、PS/2キーボードポート、20ピンATX電源コネクタを搭載している。

Maniek86氏はプロトタイプ基板での実験経験を活かし、KiCadで回路図とPCB設計を進めた。4層PCB設計は初めてだったが、信号層2層、GNDプレーン1層、電源プレーン1層という標準的な構成を採用した。PCB製造はPCBWayがスポンサーとなり、5枚の基板を製作した。

技術的な工夫も随所に見られる。486プロセッサは32ビットバスを持つが、M8SBC-486では8ビットまたは16ビットデバイスと通信するため、6個の74245トランシーバーを使ってデータ幅を動的に変換している。これによりISAバスや8ビットデバイスとの互換性を確保した。

プロジェクトの現状では、いくつかの制限もある。グラフィックカードは動作が不安定で、サウンドカードはほぼ完全に非互換だ。ISA Plug and PlayやDMAのサポートが不完全なためだ。しかしManiek86氏は「このプロジェクトは実験的なもので、より堅牢で安定したシステムを構築するための基礎になる」と述べ、コミュニティからの貢献を歓迎している。

全設計データがGitHubで公開されているため、他の開発者が改良版を作ったり、異なるx86 CPU用のカスタムボードを開発したりすることも可能だ。

関連情報

M8SBC-486 プロジェクトページ
M8SBC-486 GitHub

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