
写真家のMalcolm Jay氏が、「Mamiya C220」二眼レフカメラのウエストレベルファインダーとRaspberry Pi 5を組み合わせた自作デジタルカメラを制作した。ソニーの1インチCMOSセンサー「IMX283」を搭載し、従来のRaspberry Pi HQカメラを上回る画質を実現している。
自作カメラは、1960年代から1980年代にかけて製造されたMamiya C220二眼レフカメラの上面から覗き込んで構図を確認する部分を流用している。ファインダー部分にRaspberry Pi 5と1インチサイズのソニー「IMX283」センサーを組み込み、デジタル撮影機能を搭載した構成だ。

「IMX283」は2000万画素の高解像度を持つソニー製の1インチCMOSセンサーで、5496×3672ピクセルの画像撮影が可能だ。2.4μm×2.4μmのピクセルサイズにより優れた感度特性を持ち、低照度環境でも高画質な撮影ができる。最大25fpsでの動画撮影にも対応している。
レンズシステムには、「Fujinon」製テレビ用レンズと「Pentax Takumar」レンズを組み合わせて使用している。これらのヴィンテージレンズをアダプターを介して接続することで、独特の描写特性を活かした撮影が可能になっている。
標準クラスのカメラにひけをとらない画質
Malcolm Jay氏は撮影テストを通じて、従来のRaspberry Pi HQカメラと比較して大幅な画質向上を確認したと報告している。特に明るい環境での撮影では、シャープな描写と豊かな階調表現を実現している。また、市販のソニー「a7 IV」と比較しても満足できる結果が得られているという。
低照度環境でのテスト撮影では、大型センサーの特性を活かした低ノイズ性能を確認している。1インチサイズのセンサーは、従来のRaspberry Pi用センサーと比較して約4倍の受光面積を持つため、同じ画素数でもより多くの光を集められる利点がある。


「IMX283」センサーは、オープンソースハードウェアプロジェクト「OneInchEye」として開発されたカメラボードに搭載。同プロジェクトはRaspberry Pi Compute Module 4向けに設計されており、Raspberry Pi 5でも互換性を確保している。
撮影システムは22ピンFPCコネクターと4レーンMIPI-CSIインターフェースを使用してRaspberry Pi 5と接続される。「OneInchEye」ボードには温度センサー「TMP117」と6軸IMU「ICM42688-P」も搭載されており、撮影環境の記録や手ブレ検出などの機能拡張も可能だ。
Malcolm Jay氏は今回の制作について、詳細な組み立てプロセスを別の投稿で紹介する予定としている。同氏は以前にも「Yashica Electro 35mm」フィルムカメラをRaspberry Pi Zero 2Wでデジタル化するプロジェクトを手がけており、クラシックカメラとモダンテクノロジーの融合に継続的に取り組んでいる。