ラズパイでFire TV Stickクローンを自作、Netflix・Disney+を統合ダッシュボードで操作

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プログラマーのMario Fragnito氏が、「Raspberry Pi 5」を使ってFire TV Stickのような機能を持つ自作デバイス「PiTV」を制作した。NetflixやDisney+といったストリーミングサービスと、自宅サーバーで運用するJellyfinなどのローカルサービスを統合したダッシュボードで操作できる。2025年7月24日に自身のブログで公開した。

Fragnito氏は、既存のFire TV StickやApple TVでは、NetflixやDisney+などのクラウドベースのストリーミングサービスにはアクセスできるものの、自宅で運用するJellyfinやAudiobookShelfといったローカルサービスに簡単にアクセスできない課題があったと説明している。また、旅行先でも同様の環境を手軽に構築したいというニーズから、PiTVの開発に着手した。

Raspberry Pi 5と専用コントローラーで構成

PiTVは「Raspberry Pi 5」4GBモデルを中核とし、公式ケース、HDMIケーブル、SDカード、「Rii Controller」、「UGREEN Cable Case」で構成される。ソフトウェアには「Raspberry Pi OS」(32ビット)を使用し、「Chromium」ブラウザーで自作のダッシュボードを表示する仕組みだ。

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PiTVの操作に使用するRiiコントローラー画像出典元Mario Fragnitoブログ

ダッシュボードは「Vue」を使って開発され、「Render.com」でホスティングしている。Netflix、Disney+、Apple TV+、Amazon Prime Video、NOW TV、Rai Playといったストリーミングサービスのアイコンが並び、Fire TV Stickのような操作感を実現した。

コントローラーを使ってダッシュボード内を移動し、各ストリーミングサービスにアクセスできる。ブラウザーのUIを表示することなく、まるで市販のストリーミングデバイスのような操作が可能だ。Alt + Tabキーでターミナルに切り替えることで、Wi-Fi接続やシステムシャットダウンなどのコマンドライン操作も行える。

技術的な実装では、「Raspberry Pi Imager」を使ってSDカードにOSを書き込み、ホスト名、ユーザー、Wi-Fi、SSH設定を事前に構成した。起動後は「Tailscale」をインストールして自身のTailnetに接続し、自宅で運用する自己ホスト型サービスへのアクセスを可能にした。

音声出力はHDMI経由に設定し、起動時にChromiumブラウザーとターミナルが自動的にフルスクリーンで立ち上がるよう「autostart」機能を設定した。Chromiumには「Vimium」拡張機能をインストールし、キーボードのみでWebブラウジングができるようにして、コントローラーでの操作をより滑らかにした。

コントローラーのホームボタンを押すとダッシュボードに戻る機能も実装し、Fire TV Stickと同様の操作体験を提供する。Fragnito氏は「LinuxベースなのでOSを完全にコントロールでき、旅行先でも個人的なサービスにアクセスできる」と、PiTVの利点を述べている。

関連情報

PiTV: My Custom Fire TV Stick Clone(Mario Fragnitoブログ)

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