ラズパイで鶏小屋を完全自動化、1週間の留守でも飼育を維持するシステムを開発

FabScene(ファブシーン)

鶏の飼育では、毎朝の扉の開閉、餌と水の補充、夜間の施錠が欠かせない。1〜2日程度の外出でも誰かに世話を頼む必要があり、長期の旅行はさらにハードルが高くなる。オーストラリアのDave Duncanson氏は、Raspberry Pi Zero 2 WとESP32-S3を組み合わせた自作基板で、鶏小屋の管理を完全自動化するシステム「SmartCoop」を開発した。Raspberry Pi公式ブログが2026年1月29日に紹介した。

Duncanson氏はキャンベラ近郊で約30羽の鶏を飼育している。SmartCoopの設計目標は、最大1週間の不在でも人手なしで鶏を安全に管理できることだ。開発期間は10年以上に及び、現在のバージョンは第4世代の自作SMD基板を採用している。

システムの中核機能の約80%はRaspberry Pi Zero 2 W上で動作するJavaアプリケーションが担う。Pi4Jライブラリを使ったGPIOピンの制御やI2Cデバイスとの通信、H2データベースへのデータ保存、GPSによる位置情報と時刻の取得、Webインターフェースの提供などを処理する。残りの機能はESP32-S3が受け持ち、当初はRTC割り込みによるラズパイの電源管理のみだったが、現在はドアの位置検出やモーターエンコーダーの監視にも対応している。センサーデータの配信にはMQTTブローカーを使う。

SmartCoopで工夫されているのは、野生動物への対策だ。Duncanson氏の鶏小屋周辺にはキツネが出没し、自動開閉の時刻を学習して扉の前で待ち伏せするようになった。そこで、毎日の日の出と日の入り時刻に基づき、光センサーの測定値が一定のしきい値に達した時点で扉を開閉する方式に変更した。天候による変動と最大60分のタイムアウト設定を組み合わせることで、開閉時刻にランダム性を持たせ、キツネの待ち伏せを防いでいる。オーストラリア気象局の天気予報データも取得し、雨天が予想される日は庭側の扉を閉じたままにする。

餌の残量はNAU7802ベースの重量センサーで2台のフィーダーを個別に監視する。給水は、雨水をPVCパイプ製の砂ろ過タンクで浄化し、小型タンク経由で自動給水カップに供給する仕組みだ。扉やタンクの状態に異常があれば、設定した宛先にメールで通知する。Duncanson氏はこの通知機能について、10代の子どもが鶏小屋の扉を閉め忘れる問題への対策として追加したと説明している。

今後はUHF RFIDリーダーを追加し、各鶏にRFIDタグを装着して全羽が小屋に入った時点で自動的に扉を閉める機能を計画している。産卵箱にもリーダーを設置すれば、どの鶏がいつ産卵したかを記録できるようになる。2026年3月までの稼働を目指しているという。

Duncanson氏は元オーストラリア空軍の電子技術者で、現在は防衛産業に従事している。SmartCoopを商用化する計画はなく、ソフトウェアとハードウェアの設計データをBitbucketでオープンソースとして公開している。

関連情報

SmartCoop.tech
Raspberry Pi財団Webサイト

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