24M Technologies、セルレス構造の「ETOP」バッテリー技術を発表

FabScene(ファブシーン)
画像出典元:24M Technologies Webサイト

米24M Technologiesが2025年9月30日、電極を直接バッテリーパックに組み込む「24M ETOP(Electrode-to-Pack)」技術を発表した。従来のセルやモジュール構造を排除することで、同じサイズのバッテリーパックで最大50%の航続距離延長を実現する。電気自動車(EV)、電動垂直離着陸機(eVTOL)、エネルギー貯蔵システム(ESS)、民生用電子機器向けに展開する。

セルやモジュールを排除した新製造プラットフォーム

従来のバッテリー製造では、個々のセルを金属やプラスチックのケースに収め、それをモジュールに組み立て、最終的にバッテリーパックを構成する。この方式では、エネルギーを蓄えない非活性材料がバッテリー全体の大きな割合を占め、スペースの無駄、エネルギー効率の低下、コスト増、設計の柔軟性の制限につながっていた。

24M ETOPは、密封された正極と負極のペアを直接バッテリーパックに組み込むことで、個々のセル、モジュール、不要な材料を排除する。従来のバッテリーパックでは電極がバッテリー容積の30〜60%を占めるのに対し、24M ETOPでは最大80%まで高められる。エネルギーを蓄える活性材料の割合が増えることで、パックレベルでのエネルギー密度が向上する仕組みだ。

24M Technologiesの太田直樹社長兼CEOは、輸入バッテリーに大きく依存する米国の産業界にとって、価格、設計、性能での競争圧力が高まっていると指摘。単なる生産規模の拡大ではなく、バッテリー技術革新を進める必要があると述べている。24M ETOPにより、米国のメーカーが業界最高水準のエネルギー密度、設計の柔軟性、低い製造コストでアジアの競合企業を上回る技術を獲得できるとしている。

低コストで柔軟な製造ラインを実現

24M ETOPは、電極を密封し、パックに積み重ね、配線し、パックを閉じるまでの工程を1台の機械で実行できる。メーカーは既存のバッテリーパック組立ラインに直接統合でき、比較的低い設備投資でGWhレベルの生産能力を達成できる。

また、24M ETOPは電極と化学的性質に依存しないプラットフォームであり、大規模な電力網用バッテリーからEV、電動バイク、二輪車、三輪車といったモビリティ用途、民生用機器まで、あらゆるサイズ、構成、化学組成、電圧のバッテリーパック製造に対応する。

2028年までに17億5000万ドル(約2500億円)規模に達すると予測されるeVTOL市場では、コンパクトで軽量、最大出力、長距離、コスト効率を実現する設計が不可欠とされており、24M ETOPはこうした新興市場に特に適しているという。

24M Technologiesは2023年10月に24M ETOPを初めて発表している。同社の安全性を高める「Impervio」セパレーターや、マイナス40度での急速充電を可能にする「Eternalyte」電解質と組み合わせることで、1回の充電で1600km走行可能なバッテリーパックをコスト効率よく安全に提供できるとしている。

関連情報

24M ETOP技術プレスリリース

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