アザラシのヒゲをまねた流体センサーを、微細な3Dプリントでまるごと作り出す方法を、Engincan Tekin氏らの研究チームが示した。水中で渦の流れをとらえ、過ぎ去った後に残る航跡まで追える。成果は学術誌のMicrosystems & Nanoengineeringに掲載された。
アザラシは、暗い水中でも、魚が残した渦の航跡をたどって獲物を追う。手がかりはヒゲの形だ。波打った形のヒゲは、自分が泳ぐときには揺れにくく、外から来た流れを受けたときだけ震える。自分の動きで生じる雑音を抑え、弱い信号を拾いやすくする。人工のセンサーでは、この2つの揺れの区別が難しかった。
研究チームは、形だけをまねるのではなく、ヒゲの形と感じ取る仕組みを一体で作った。微細な造形に向くPμSLという3Dプリントの方式で、柔らかいレジンを使い、根元の部品を内部の細い管ごと一度に造形する。ヒゲと根元を別々に刷ってから組み合わせる。
根元の管の中には、グラフェンを使った感圧の素子を入れる。ヒゲの付け根がたわむと、その変形が電気の信号に変わる。流れの中の渦を、強さや向きとしてとらえる。試験では、3000回くり返してもはたらいたという。
まるごと3Dプリントで作れるため、形を変えたり数を並べたりしやすい。水中ロボットの航行や、環境のモニタリングに向くという。生き物が少ない力でやってのける感じ取り方を、3Dプリントで再現する試みだ。