Alif Semiconductorが2026年9月8日、機械学習の推論を機器の中で走らせるマイコンの評価ボード「StartKit」2種を発売した。価格はいずれも49ドル(約7500円)で、回路図とAltiumの設計ファイルも公開している。
2種の違いは無線の有無にある。「SK-E1C」は同社のEnsemble系マイコンを載せ、「SK-B1」は無線対応のBalletto系を載せる。SK-B1にはBluetooth Low Energy用に調整したチップアンテナとRFフィルターが付き、マイク2個とカメラモジュールも載る。Ballettoは BLE 5.3 と IEEE 802.15.4 を扱えるため、イヤホンやウェアラブルのように処理と無線と電池の持ちを1つの基板へ収めたい用途を想定する。
搭載するマイコンは、どちらも各系列の上位構成にあたる。Arm Cortex-M55を160MHzで動かし、信号処理を速めるHeliumのベクトル拡張を持つ。これに加えてArm Ethos-U55のNPUを積む。同社は、同じ処理を従来のマイコンのコアで走らせる場合と比べ、推論の速度が最大で2桁上がるとしている。メモリーはコアに密結合したSRAMとMRAMを合わせて2MBある。NPUは1サイクルあたり128回の積和演算をこなす。
拡張の口を広く取っている。同社が定めた44ピンのヘッダーでマイコンの全機能を引き出せるほか、ArduinoのR3シールドとMikroEのClickボードに対応する。USBはデータ用のmicro-Bと電源用のUSB-Cが別に付き、3色のLEDとユーザーボタン、電流を測るためのジャンパーも載る。
同社は2021年にNPUを積んだマイコンを初めて市場へ出したとしており、今回のキットでその技術を誰でも使えるようにすると説明する。開発者が独自の基板を起こす前に、消費電力を抑えた推論や信号処理、無線を試す段階を想定している。すでに販売代理店で注文を受け付けている。
なお、Analog Devicesがこの翌日にあたる9月9日、Alif Semiconductorを13億5000万ドルで買収すると発表した。業績に応じて最大2億ドルを上乗せする条件が付き、2026年内の完了を見込む。買収後もAlifの製品群がどう扱われるかは明らかにしていない。