
Sixfabが開発したRaspberry Pi搭載のエッジAIコンピューター「ALPON X5」が、Kickstarterでクラウドファンディングを実施している。LTE接続機能とAIアクセラレーターを内蔵し、クラウドに依存しないリアルタイムAI処理を実現する。
Raspberry Piの汎用性と産業グレードの耐久性を両立
ALPON X5は、Raspberry Pi Compute Module 5を中核に採用したエッジAIコンピューターだ。韓国DEEPX社のAIアクセラレーター「DX-M1」を搭載し、25 TOPSの演算性能を実現。消費電力は平均3.5Wと低く、パッシブ冷却による静音設計となっている。
筐体はアルミニウム製で、ファンレス設計により可動部品を排除。防塵・防振性能を備え、工場や屋外などの過酷な環境での使用にも対応する。サイズはコンパクトで、壁掛けやサーバーラックへの設置も可能だ。
内蔵されたLTEモジュールにより、インターネット接続環境がない場所でもデータ通信が可能。eSIMとデュアルバンドWiFiにも対応し、柔軟な接続オプションを提供する。HDMIやUSB3.0、ギガビットイーサネットなど、標準的なインターフェースも備えている。
AIモデルの実行とクラウド管理システム
ALPON X5は、YOLOv5/v7による物体検出、顔認識、車線検出、ポーズ推定など、様々なAIモデルの実行に対応している。TensorFlow Lite、ONNX、PyTorch、OpenVINOなどの主要なAIフレームワークをサポートし、Raspberry Pi向けの既存プロジェクトとの互換性も確保されている。
付属の「ALPON Cloud」サービスを使用することで、複数のデバイスをリモートで管理可能。ソフトウェアの更新、ステータス監視、アプリケーションのデプロイなどをWebダッシュボードから一元的に行える。初回購入時には3カ月間の無料利用が含まれる。
2021年からRaspberry Pi公式デザインパートナー
Sixfabは2016年に設立され、Raspberry Pi向けの接続性HATを開発してきた。2021年にはRaspberry Pi公式デザインパートナーに認定され、2024年のEmbedded Worldでは初期プロトタイプを展示している。これまでに11万台以上のエッジコンピューターを出荷した実績を持つ。
価格はスーパーアーリーバードが549ドル(約8万6000円)、通常価格が599ドル(約9万4000円)。出荷は2025年12月から開始予定で、2026年2月に完了予定となっている。なお、クラウドファンディングの性質上、プロジェクトの遅延や仕様変更の可能性もある。