
Arduino(アルドゥイーノ)は2026年3月9日、AI処理とリアルタイム機械制御を1枚に統合したシングルボードコンピューター「VENTUNO Q」を発表した。Embedded World 2026に先立ち公開されたもので、現在公式サイトで事前登録を受け付けている。
構造の核心はArduinoが「デュアルブレイン」と呼ぶ2チップ構成だ。AI処理側にはQualcomm Dragonwing IQ-8275プロセッサー(NPU・CPU・GPU統合、最大40 TOPS)を、リアルタイム制御側にはSTM32H5F5マイコンを搭載し、両者をRPC(リモートプロシージャコール)ブリッジで接続する。これにより、AIと機械制御を別々のハードウェアで動かす従来の2台構成を1枚に置き換えられる。たとえばカメラ映像をAIが解析して不良品を検出し、その判定をマイコン側に渡してアームが即座に弾く、という一連の流れをボード内で完結させることができる。
主な仕様は、RAM 16GB、ストレージ64GB eMMC(M.2 NVMe Gen.4スロットで拡張可)、Wi-Fi 6(トライバンド)、Bluetooth 5.3、2.5Gb Ethernet。カメラはMIPI-CSI 4レーン×3系統を同時接続でき、ROS 2(ロボットオペレーティングシステム2)もネイティブサポートする。産業向けのCAN-FD、PWM、高速GPIOも備える。
動作はオフライン完結型で、搭載AIモデルには音声認識(Whisper)、物体追跡(YOLO-X)、ローカルLLM(Qwen)、ビジョン言語モデル(Qwen VLM)などが含まれ、クラウド接続なしで推論が走る。想定用途はピックアンドプレースロボット、自律走行型サービスロボット、生産ラインのリアルタイム品質検査、工場や医療現場向けのオフライン動作アシスタントなど幅広い。
既存のArduino UNOシールドやArduino Modulinoノード、Qwiicセンサー、Raspberry Pi Hatと互換性を持つため、過去の資産を流用しながら開発を進められる。開発環境はArduino App Lab上に統合されており、ArduinoスケッチとPythonスクリプト、AIモデルのフローを同一画面で扱える。Qualcomm AI HubおよびEdge Impulse Studioと連携してカスタムAIモデルの作成にも対応する。
製品名「Ventuno」はイタリア語で21を意味し、Arduinoの創業21周年にあたる2026年に投入する製品として命名された。価格は未公開で、Arduino Storeのほか、Digikey、Farnell、Mouser、RSなどの正規代理店を通じて近日発売予定。

