
中国の3DプリンターメーカーのBambu Labは2025年8月11日、企業向け3Dプリンター「H2D Pro」を発表した。メーカー希望小売価格は3799ドル(約56万円)で、自動フィラメント交換システムのAMS 2 Pro(標準フィラメント用)とAMS HT(高温フィラメント用)が付属する。日本では代理店経由での販売が想定されるため、実際の販売価格は異なる可能性がある。350℃のノズル温度と65℃のアクティブ加熱チャンバーを搭載し、PPA-CF、PPS、PPS-CFなどの高温エンジニアリング材料に対応する。
H2D Proは、既存のH2Dの3Dプリント機能を維持しながら、企業ネットワークのセキュリティ要件に対応したエンタープライズグレードのモデルとして位置づけられている。レーザーやブレードカッティングモジュールは標準では含まれないが、オプションで追加可能だ。
ネットワークセキュリティ機能を強化
H2D Proの主な新機能として、WPA2-Enterprise Wi-Fi認証(EAP-PEAP、EAP-TLS、EAP-TTLS)により、セキュアな企業ネットワークへの統合が可能になった。802.1Xネットワークアクセス制御にも対応し、ネットワーク接続前の認証を必要とする。
安定性を重視する環境向けに有線接続用のイーサネットポートを搭載し、最大100Mbpsの全二重通信が可能だ。物理的なネットワーク切断スイッチにより、不要な接続を即座に遮断でき、完全に取り外し可能なネットワークモジュールも装備している。
ハードウェア面では、新開発の高性能ツールヘッド冷却ファンと耐久性の高いタングステンカーバイドノズルを搭載した。タングステンカーバイドノズルの硬度はHRA 90で、従来のH2Dのハードスチールノズル(HRA 74)を大幅に上回り、繊維強化フィラメント使用時の寿命が50%向上している。
印刷仕様は、デュアルノズル搭載でシングルノズル使用時325×320×325mm、デュアルノズル使用時300×320×325mmの造形エリアを提供する。本体外寸は492×514×626mm、重量31kgだ。最大ノズル温度350℃、65℃のアクティブチャンバーヒーターにより、高温エンジニアリング材料での安定した高品質な造形が可能だ。エアフロー調整機能により、フィラメントタイプに応じて換気を最適化し、低温での詰まりや高温での反りを防ぐ。

通信機能では、IEEE 802.11 a/b/g/n準拠のWi-Fi(2.4GHz/5GHz帯)と100Mbps全二重対応のイーサネットポートを搭載している。電源は100-120VAC/200-240VAC(50/60Hz)に対応し、最大消費電力は220V時2200W、110V時1320Wとなっている。
標準装備のビジョンエンコーダーは5μm解像度の光学測定により、最小動作精度50μmを実現する。G3プリフィルター、H12 HEPAフィルター、活性炭フィルターを組み合わせ、造形時の臭いや有害粒子を最小限に抑える。
Bambu Labは企業統合サポートサービスも提供し、カスタムプリンターフリート管理ツールの開発支援を行うことも発表している。新しいツールヘッドファンとタングステンノズルは既存のH2Dにも対応予定で、2025年第4四半期に発売される見込みだ。
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※記事初出時の価格表記に誤りがありました。訂正してお詫びします